2016.10.21
ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語)
前回の記事でご紹介したように、ロカ岬への行き方は2通り。ロカ岬へ向かう路線バスの都合上、シントラを経由するかカスカイスを経由するか、である。今回は世界遺産になっているシントラの観光も兼ねて、シントラ経由で行くこととなった。そこからロカ岬へ向かい、同じ道を戻るのは嫌なので帰りはカスカイス経由でリスボンに帰ってくるといった行程である。シントラ行の列車はオリエント駅から20分間隔、ロシオ駅から30分間隔で出ているが、今回は泊まったホテルの都合でロシオ駅から列車に乗る。
リスボン=ロシオ駅は1890年に開業した歴史のある駅である。リスボン中心部のロシオ広場に接しており、1950年代まではリスボンの中央駅として機能していたそう。現在はサンタ・アポローニャ駅やオリエンテ駅にリスボンの玄関口としての地位は譲っているものの、近郊列車の発着するターミナル駅として現在ももちろん現役である。ロシオ駅で何と言っても素晴らしいのは、1890年の駅開業時に建てられた駅舎が現在も現役であるということ。ロシオ広場に面したマヌエル様式の建築はもはや歴史的建造物である。本来ならば駅舎に掲げられているはずであるポルトガル鉄道のロゴ等はいっさい排除されており、外観は一見してこれが駅だとははっきり言って分からない。駅舎に入り、エスカレーターを上がると改札の奥に頭端式のプラットホームが広がっている。なお、リスボン地下鉄にも同名の駅が存在するが、ポルトガル鉄道のロシオ駅へはレスタウラドーレス広場駅の方が近いので注意されたし1)。
乗車したのは8時11分始発のシントラ行2)。車両は前回の記事でご紹介した2300形・2400形電車、通勤型車両ではあるものの座席はオールクロスシートである。ロシオ駅を出発した列車はすぐにトンネルに突入、のっけからリスボンもポルトと同じように起伏に富んだ土地の上にあることを感じさせられる。リスボンは"7つの丘の街"と言われるほどの都市で、この全長2,600mのロシオトンネルはリスボン中心部に鉄道を引き込むための切り札なのであった。ロシオ駅とともに130年近くの歴史を持つトンネルだが、2004〜2008年に改修工事が行なわれたということで、列車の光によって見えるコンクリートの壁面は歴史のあるトンネルのものとは思えぬとても綺麗な状態。改修工事は路線の運休を伴う大規模なものだったそうだが、モノを長く大切に使うのに長けたヨーロッパらしいメリハリのあるやり方である。
ロシオトンネルを抜け、車庫を併設しているカンポルーデ駅を出発すると、オリエンテ駅方面からの線路と合流する。オリエンテ駅方面からの線路はリスボン首都圏の近郊列車だけでなく、カルダス・ダ・ライーニャ方面に向かう中長距離列車も走るので、ここからしばらくは複々線区間。ちょうどこの区間で我々の乗ったリスボン行の列車とオリエンテ駅方面からやってきた同じ2300形・2400形電車と並走という形となった。ダイヤはそこまで過密でないはずなのでたまたまなんだろうけど、前回の記事でご紹介したように車両の雰囲気が日本の鉄道車両に似ているということもあって、山手線と並走する京浜東北線に乗っているような感じがしてちょっと変な気分。ポルトガルで電車に乗っているはずなのに。
8時51分、概ね定刻でシントラに着いた。やはり起伏の激しいところを走っているためなのか、最初のロシオトンネルを除いてやたらとくねくねとした線形という印象。そして、いつの間にか標高の少し高いところに走ってきていたようで、霧が酷い。シントラが山の中という土地柄だからなんだろうけども、とにかく天気が変わりやすい上に霧が発生しやすいところのようで、せっかくの古城めぐりも霧に悩まされることになる・・・。
- 1)リスボン地下鉄でも公式的にレスタウラドーレス広場駅をポルトガル鉄道ロシオ駅への乗換駅として案内してある。
- 2)ロシオ駅からはミラ・シントラ=メレサスという紛らわしい行先の列車も発着しているが、ミラ・シントラ=メレサス行の列車はシントラには行かないので注意されたし。
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