2019.06.19
さようなら、京急800形。
京急800形が営業運転を終了した。一般営業での最終列車となったのは、6月14日の1719レ普通神奈川新町行。その後、16日には特別貸切列車「ありがとう800形」が品川〜久里浜工場間で運転され、有終の美を飾っている。800形は6両編成22本が在籍していたが、2011年度より801編成と803編成を皮切りに廃車が開始。そして、このほど最後まで残っていた823編成の引退により、41年の歴史に幕を閉じることとなった。
その独特な前面の表情から"だるま"と呼ばれた800形は、京急初となるワンハンドルマスコンや回生ブレーキ付界磁チョッパ制御、FRPを多用した室内など数々の新機軸の導入が評価され、1979年に鉄道友の会の「ローレル賞」を受賞している。他方、1灯の前照灯や片開き扉などを装備し、いわゆる日野原イズムの集大成と評されることもあった。800形の引退により、京急から消えるものを思いつくがままに挙げてみると、次のようになるだろうか。(*は事業用車両(デト)に残るもの)
- 前面の方向幕
- 右手ワンハンドルマスコン*
- 1灯の前照灯*
- 室内の扇風機*
- 1C12M制御装置
- 電動発電機(補助電源装置)
- C2000M形コンプレッサー
- ダイヤル式の行先表示設定器
- 青色の座席*
15日の終電後には、800形の営業運転終了を待ってましたと言わんばかりに京急蒲田駅3番線にホームドアが設置されている。京急では京急川崎や横浜など主要駅にホームドアの整備を予定しているが、これまでホームドアが整備されたのは羽田空港国内線ターミナル駅や京急蒲田駅1・4番線など800形の入線範囲を避けていた。800形が700形に引き続き片側4ドアとして製造されたのは多くの乗客を短時間で捌くという時代的な要請があったためだが、その片側4ドアというスタイルが2010年代になってホームドア整備の弊害となってしまったのはなんとも残酷な話だ。時代の移り変わりとともに800形は去っていったのである。
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