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2020.06.14

6月12日10時15分ごろ、京成本線青砥駅構内で列車脱線事故が発生した。この影響で京成線ならびに直通している都営浅草線、京急線、北総線の各線では、大幅にダイヤが乱れた。本稿は、この事故の概況とその後の京成線の運行状況を簡単にまとめてみたものである。

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京成3000形 3034編成
2020.6.13/京成臼井〜京成佐倉

▲市川真間行として走る京成3000形3034編成。事故現場の復旧作業に伴い一部区間が運休し、市川真間行のほか千住大橋行や八広行が走った
事故発生から現場区間の開通までのタイムライン
  • 6月12日
    10:15ごろ:脱線事故が発生。京成本線、押上線、成田スカイアクセス線が運転見合せ
    10:50ごろ:八広〜青砥を除いて運転再開
    21:00ごろ:事故復旧作業のため各線の一部区間を運休
  • 6月13日
    0:00ごろ:7811号車を撤去、高砂検車区に収容(保線モーターカー牽引)
    7:00ごろ:7812号車を含めた残りの7両を撤去、高砂検車区に収容(自走)
    7:30ごろ:試運転を実施
    7:40ごろ:現場区間開通、各線の運休を解除
脱線事故の概況

当該の車両は北総7800形7818編成1)で、1022N(京成高砂10時13分発普通羽田空港行)として青砥〜京成高砂の上り外線から青砥駅1番線に進入する場面であった。何らかの原因で7812号車の印旛日本医大方の台車における全2軸が脱線。列車はホームに6〜7両ほどが入った状態で停止した。また、同車印旛日本医大方のパンタグラフが架線に引っ掛かって車両から外れ、同駅構内両渡り線付近の架線に宙吊り状態で取り残された。

原因は今のところ不明ながら、脱線した台車の枠に大きな亀裂が生じていることが報道等により明らかになっており、これが大きく影響したものと考えられる。7800形は住友金属工業2)が製造したSUミンデン式の台車を履いている。このことについて、2016年5月に東武東上線中板橋駅で発生した脱線事故3)や南海50000系の台車に関する重大インシデント4)との類似性が指摘されているが、詳細はやはり運輸安全委員会の調査が待たれるところだ。

事故発生以降、21時ごろまでにおける京成線の運行状況

事故の影響により、押上線八広〜青砥が終日運休となった。脱線した列車は青砥駅の1番線に入り切っていない状態で停止したが、上り内線〜上野線に対して支障なしと判断されたため、京成本線は全線で運転が再開された。

スカイライナーは21時ごろからの一部区間運休(後述)まで平常通り運転した。京成本線は都営浅草線直通の快速が一部の列車・区間を除いて運休とされたほか、京成成田発着の快速特急の運転を取り止め。基本的に普通列車と特急列車のみの運転となった。アクセス特急は印旛日本医大〜成田空港で、北総線列車は京成高砂あるいは矢切でそれぞれ折返し運転を行った。

押上線は当初八広〜青砥が不通区間とされたが、実際に八広まで走った列車はほとんどなかった模様で、14時ごろに更新されたWeb上の運行情報では押上〜八広を含めた全線が不通区間としての案内に変更されている。都営浅草線は羽田空港発着列車が運休になった(羽田空港系統は京急線品川折返しで運転)ほか、全て押上折返し(一部浅草橋折返し)で運転された。京成線との直通運転は翌13日の現場開通まで中止されたが、押上方に取り残された車両を脱出させるため、事故発生以降も数本のみ直通列車が走った(965Kb、1071Kなど)。

都営5500形が京成上野と芝山千代田に入線

事故による影響で、京成線内に取り残された都営5500形が京成上野と芝山千代田に入線するという事態が発生した。都営5500形の上野線、東成田線、芝山鉄道線への入線はいずれも初めて。特に、芝山千代田への入線は都営車として初めての事例になっている。

京成上野に入線したのは5506編成で、当日は11T運行に充当していた。事故発生時、同編成は1010T(京成高砂始発普通西馬込行)として京成高砂停車中あるいは京成高砂→青砥を走行中だったと思われるが、いずれにせよ事故により行き場を失うこととなった。青砥でやむなく京成上野方面の2番線に入線させ、同駅て営業打切り、10S10〜10S01として京成上野まで回送で往復し、高砂検車区に入庫した。

芝山千代田に入線したのは5513編成である。当初は29T運行に充当しており、829T快速京成成田行の後、所定通り宗吾車両基地に入庫。本来であれば1228Tで出庫となるが、事故の発生により快速が運休になったため引き続き宗吾車両基地に留まっていた。その後、1531T(羽田空港発成田空港行)を宗吾参道から運転することになり、5513編成が31T運行として出庫。成田空港に到着した5513編成は、折返し1730T特急京成高砂行→1887K快速特急成田空港行→20A04快速八千代台行と走って、八千代台から折返し1979K快速芝山千代田行になる。行先変更や車両交換されることなく、そのまま芝山千代田まで走った。芝山千代田からは2178K普通京成成田行(京成成田から回送)となり、再び宗吾車両基地に入庫してその日の運行を終えている。

事故復旧作業に伴う一部区間の運転取り止め

事故現場の復旧作業に伴い、21時ごろより現場区間周辺の運転を取り止めることが決定され、実施された。運休となったのは京成本線千住大橋〜市川真間、押上線八広〜青砥(事故発生から引き続き運休)、成田スカイアクセス線京成高砂〜新鎌ヶ谷、北総線京成高砂〜矢切の各区間。これらの区間の運休は事故当日だけでなく、翌13日7時40分ごろの復旧作業終了まで続いた。

運休区間以外はそれぞれの区間で折返し運転とされ、千住大橋行、市川真間行、八広行が走った。各区間の運行状況は以下のとおりである。

  • 京成上野〜千住大橋:3023編成を使用してピストン運行。30分間隔で運転していた模様。
  • 市川真間から京成成田方:普通列車は市川真間にて折返し運転。8両編成は東中山あるいは八千代台で折返し。成田空港23時3分発快速京成高砂行終電車(23A30)が市川真間行として運転され、快速市川真間行が1本だけ走った(3006編成。折返し2161K普通京成佐倉行として運転)。
  • 押上〜八広:7808編成を使用してピストン運行。20〜40分間隔で運転していた模様。
  • 金町線:高砂検車区への出入庫ができなくなったため、独立した線区である金町線にも影響が生じた。所定では22時すぎに入庫する71運行(3524編成)を運休前に入庫させたため、以降は73運行(3668編成、京成高砂駅5番線で滞泊して翌日71運行)のみで運行した。翌13日も高砂検車区から73運行が所定通り出庫できなかったため、9時30分ごろまで引き続き3668編成のみで運行した。
  • 成田スカイアクセス線:新鎌ヶ谷または印旛日本医大〜成田空港で運転。
  • 北総線:矢切にて折返し運転。
運転再開後の運行状況

事故翌日の7時30分ごろ、現場区間の試運転が3041編成(S01運行)と3036編成(S03運行)にて実施された。いずれも京成高砂から3041編成が上り外線→押上線を、3036編成が同内線→押上線をそれぞれ走り、異常がないことを確認の上、同40分ごろに現場区間が開通した。合わせて、前日21時ごろから実施していた一部区間の運休も解除された。なお、3041編成と3036編成はそのまま押上線のピストン運行に使用されている。

スカイライナーは下り17号(京成上野8時20分発)、上り4号(成田空港8時30分発)より運転再開し、いち早く平常運行に戻った。千住大橋や市川真間などで折返し運転をしていた京成本線は、現場開通により所定の行先での運転を再開した。ただし、都営浅草線直通の快速は10時ごろまで運休とされた。

押上線は現場区間開通後もしばらくは前述の2編成を使った折返し運転を行った。10時ごろより押上線を走る各系統の直通運転が再開され、徐々に平常運転に戻された。平常運行に戻る過程で他社局所属車両による代走や運用調整の回送が多数発生したが、これも時間が経つにつれて解消されていった。

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