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2021.08.08

幕張新都心を走る連節バス。3月末より3代目となる新型車両が登場している。

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京成バス 4001号車
2021.7.30/幕張本郷駅入口

▲幕張新都心を走る連節バスの3代目として登場した日野ブルーリボンハイブリッド連節バス。塗装はメルセデスベンツ・シターロGと同色のジェダイトグリーンを採用し、2代目「シーガル幕張」を襲名している
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京成バス 4002号車
2021.6.16/ZOZOマリンスタジアム

▲うしろ側

京成バス新都心営業所では、3月末より新都心・幕張線で3代目となる連節バスの運行を開始した。新型となる連節バスは3代目ということで、3月30日にデビュー。幕張本郷駅発ZOZOマリンスタジアム行の直通バスが運行初便であった。この際、始発となる幕張本郷駅を15時33分33秒に発車するという粋な演出も行われている。

先々代のボルボB10M、先代のメルセデス・ベンツ・シターロGに続く3代目の連節バスとして採用されたのは、日野ブルーリボンハイブリッド連節バス(KX525Z1)。同車は2019年5月に国産初の連節バスとして発売開始された車両だが、満を持して幕張新都心に登場することとなった。なお、日野ブルーリボンハイブリッド連節バスには同一車種として奥戸営業所が担当する東京BRTで導入実績もあるいすゞエルガデュオがあるが、今回日野が選択されたのは新都心営業所が日野の車両を中心に導入している営業所だからとみられる。いずれにせよ、京成バスは国内で初めて、かつ現時点で唯一、2種類の国産の連節バスを揃える事業者になった。

車両番号はシターロGとボルボが付けていた4800番台を捨て、新たに4001〜を付番。2021年8月現在で4001と4002の2台が在籍している。

塗装はシターロGと同色のジェダイトグリーン1)を採用し、連節でない単車形の車両との差別化を図っている。シターロGは窓の上に各車両で異なる色の帯を入れていたが、ブルーリボンハイブリッド連節バスでは京成バスのコーポレートカラーを表現した赤と青の帯を各車共通で配置。シターロGに比べると1台1台の個性がなくなった。

愛称は2代目「シーガル幕張」を襲名。「シーガル幕張」はシターロGが導入された時に付けられた愛称だが、ブルーリボンハイブリッド連節バスにも適用した。新都心営業所の車両ではおなじみのカモメのシルエットが、車両前面の中央にエンブレムのように鎮座しているのが特徴。

なお、シターロGで行われていた前扉からの2列乗車は、ブルーリボンハイブリッド連節バスの導入に伴い廃止となった。ブルーリボンハイブリッド連節バスの前扉では、2名が同時に乗車できるほど幅員に余裕がないためだろう。

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京成バス 4824号車
2017.7.2/千葉市花見川区幕張本郷

▲導入から11年が経とうとしているメルセデス・ベンツ・シターロG。新型連節バスの導入に伴い2台が廃車となったものの、まだまだ13台が現役。先々代のボルボに倣えば、来年以降に置換えが本格化か

前述のように、ブルーリボンハイブリッド連節バスの現時点における導入台数は2台のみとなっており、一挙に大量投入された先代と先々代とは対照的な走り出しとなっている。導入から12年で置き換えとなった先々代のボルボと同じくシターロGも少なくとも12年の使用を想定しているものとみられるが、新型連節バスの導入でシターロGの4825号車と4827号車が12年を待たずして廃車となったことからすると、ひとまずは状態が悪い車両の代替を新型車両の様子見ついでに行ったということだろうか。

連節バスの車種の選択としては、ブルーリボンハイブリッド連節バスのほかにも2016年にモデルチェンジした新型シターロGや、新潟や奈良で走るスカニアK360UAがある。しかし、国産の連節バスが登場した以上もはや海外製の連節バスを導入する理由はないので、やはりブルーリボンハイブリッド連節バスがシターロGの置き換え候補の本命であることには間違いないだろう。メーカーとしても国内における連節バスの一大ユーザーである京成バスの動向を見ていないわけがないので、新型連節バスの発売開始を京成バスのシターロG代替のタイミングに間に合わせることは至上命令のひとつだったはずだ。シターロGの車齢が12年に達する来年以降、連節バスの置き換えが本格化していくものと思われる。

  • 1)ジェダイトグリーンはメルセデス・ベンツの純正カラーである。結果的に、メルセデス・ベンツの純正カラーが日野のバスに塗装されるという事象が起きている。

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