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2021.08.22

蒲田ローカル廃止に伴う回送列車。

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京急1000形 1461+1445編成
2021.6.6/生 麦

▲2021年3月ダイヤ改正で新設された定期回送列車、回1070。列車は4+4の8両編成で運転される
  • [土休日]回1070 回送
  • 始発:京急川崎---- → 終着:神奈川新町----
  • ダイヤ:2021.3.27改正
  • 備考:
  • [土休日]回1072 回送
  • 始発:京急川崎---- → 終着:神奈川新町----
  • ダイヤ:2021.3.27改正
  • 備考:

回1070・回1072は、土休日に設定されている定期回送列車である。2021年3月ダイヤ改正で新設された列車で、運転区間はいずれも京急川崎→神奈川新町となっている。

列車の設定理由はいたって単純。4本の快特泉岳寺行813A、815A、901A、903Aに連結される京急川崎止まりの増結車を新町検車区に入庫させるための回送列車となっている。もともと813A〜903Aの増結車は京急川崎で分割の後、そのまま品川〜京急蒲田間を走る普通列車(通称:蒲田ローカル)に流れる運用だったが、同改正で蒲田ローカルが廃止されたため、車両を車庫に戻す必要が生じたのである。

これらの列車がユニークなのは、4+4の8両編成で運転されること。すなわち、増結車として使われた4両編成4本を2本ずつまとめる格好での回送となる。しかし、4両編成2本はいったいどこで8両編成になるのやら?? それは・・・

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京急600形 652編成
2021.6.6/京急川崎

▲というわけで、京急川崎駅に行ってみた。写真は901A増結車が分割の後、引上線に入線しているところ。4両編成のわりに停車位置がずいぶんと奥すぎる???
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京急600形 652編成
2021.6.6/京急川崎

▲・・・と思っていたら、903A増結車が登場。引上線に入線し、先に入線していた901A増結車と併合
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京急600形 655+652編成
2021.6.6/京急川崎

▲引上線での併合作業が完了し、回1072として出発を待つ

ご覧の通り、4両編成どうしの併合は京急川崎駅の品川方にある引上線で行われる。まず、813Aの増結車が快特から分割の後、引上線の奥に入線。20分後、815Aの増結車が同じく分割の後、引上線に入り、先に入線している4両編成と併合。こうして4+4両編成となり、折り返し回1070として神奈川新町に向けて走る。901Aと903Aの増結車→回1072も同様。さすが京急、分割・併合はお手のもの。どこでも車両をくっつけちゃうよ。京急川崎の引上線は普通列車やT急行の折り返し、D特急の快特待避などさまざまな使われ方をしてきたが、併合を伴う運用は初めてのことかと思われる。

なお、昨年5月からの蒲田ローカル運休では4本の増結車をそれぞれ単独で新町検車区まで戻していたが、4+4両編成でまとめて回送というように改められたのは、ダイヤ改正で鉄道係員の労働環境の改善という内容が盛り込まれたためであろう。列車を削減すれば、それだけ乗務員の行路に余裕が生まれるというわけだ。

前述のようにもとは快特の増結車なので、車両は1500形鋼製車を除く全ての4両編成が充当しうる。私が様子を見に行った日は回1070:1000形ステンレス+1000形アルミ、回1072:600形+600形という組み合わせだったが、日によっては1500形や1000形1800番台も混ざることもあり、それはまさにガチャ。こうした面白さがあるのは回送列車ならではである。

とは言え、回1070と回1072の存在は、蒲田ローカル廃止に対する応急策という印象は否めない。蒲田ローカルが消滅した以上、もはや前述4本の快特の増結車を京急川崎までとする理由はないだろうからだ。ここらへんのことが発展的に解消されたとき、この2本の珍列車は消え行く運命にある。

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