宇都宮ライトレール 2025年夏 その2
2025.08.31
6月末に宇都宮に行く機会があったので、話題の路線、宇都宮ライトレールに乗ってみた。その2。
宇都宮ライトレールHU300形 HU306号車
2025.6.29/宇都宮駅東口〜東宿郷
6月末のある日、宇都宮ライトレールに乗ってみた。宇都宮駅東口から終点の芳賀・高根沢工業団地まで単純に1往復して、感じたことなどをば。その1はこちら。
イケてるHU300形
車両は新潟トランシスで製造されたHU300形で、全部で17編成が使用されている。いわゆるブレーメン形と呼ばれるタイプの100%低床車となるが、これがなかなかイケている。鉄道の分野で多数の実績のあるGKデザイングループがデザインした黄色と黒のHU300形は、多彩な表情を見せる沿線風景の中でたいへん目立つ存在となっており、流線型でスマートな車体はこれからの新しい路面電車像を印象付けるには十分だろう。
宇都宮ライトレールHU300形 HU307号車
2025.6.29/宇都宮駅東口〜東宿郷
宇都宮ライトレールHU300形 車内
2025.6.29/**
車内も車体色と同じ黄色と黒を基調として、間接照明の灯る上質な空間にまとめられている。低床型の路面電車特有の大きな窓は採光性と眺望性ともに抜群で、明るくて開放的な車内は乗っていて気持ちが良い。
宇都宮ライトレール 東宿郷電停
2025.6.29/**
LRTを名乗るための工夫
さて、この宇都宮ライトレールだが、宇都宮市の資料などではLRTとして扱われている。路面電車ではなく、LRTを名乗るためにはそれなりの工夫をしなければならぬ。同線が従来の路面電車と異なるのはどのあたりなのだろうか。
今回、乗車して感じたのは、定時性を強く意識した運行が行われているということ。道路の混雑状況によって時間の読めない自動車に対して、ライトレールが時間の読める乗り物となるならば、それは利用する上での大きなアドバンテージになる。
その最大の特徴は、すべての電停において全扉乗降方式が採用されていることである。各扉付近にはICカードリーダーが設置されていて、交通系ICカード利用の場合はどの扉からでも乗降が可能となっている。従来の乗降口を限定した路面電車では、電停での停車時間は混雑状況によってまちまちとなるが、こうした不安定要素をライトレールでは事実上の信用乗車制を採ることで当初より排除している。
宇都宮ライトレールHU300形 車内
2025.6.29/**
車両の運転席後方には従来の路面電車にも見られる運賃箱が設置されており、現金の場合はこちらを利用することとなるが、私が乗車した列車に限って言えば、現金利用の乗客はほとんどいなかった。宇都宮ライトレールによれば、2024年7月の時点で交通系ICカード利用者は全体の93.9%にもなるという。この数字こそ同線の強みであり、定時運行性の鍵である。これにより各電停における停車時間を必要最小限のものにでき、ストレスのないスムーズな運行の実現につながっている。
課題
課題もある。SNSなどでも多くの人が指摘しているように、最高速度が全線で40km/hとなっているのはもどかしいところである。この40km/hという数字は軌道法に基づくものだが、特に専用軌道となっている平石〜清陵高校前においても電車は一般車通行禁止(電車のみ通行可)の道路を走るという扱いになっているため、併用軌道と同じ40km/hの制限を受けてしまう。
線形の良い高架橋を40km/hでのんびり走る電車内には、虚無の時間が流れていた。これでは、利用者にライトレールは遅いというよくない印象を与えてしまいかねない。法的な要素も絡むので難しいとは思うが、なんとか打開できないだろうか。
JR宇都宮駅西側への延伸計画
今後、路線はJR宇都宮駅から西側の中心市街地に延伸する予定となっている。宇都宮駅の北側で東北本線を越え、駅から西にのびる大通りを西進する計画である。宇都宮市によれば、まず、2030年代に同市生駒の栃木県教育会館付近までの約5kmの区間を開業させる予定とのこと。その後、さらに大谷方面に延伸する計画もある。実に楽しみだ。
宇都宮ライトレール JR宇都宮駅西側方面計画図
◆ ◆ ◆
以上、6月末に訪れた宇都宮ライトレールの印象を簡単にまとめてみた。とにもかくにも、宇都宮ライトレールの成功は大きいものである。路線を適切に計画すれば上手くいくという事例が示されたことは、鉄道分野的にも都市計画分野的にも明るい光だ。とかく日本ではこうしたインフラ整備に慎重な意見が伴うことが多いが、宇都宮に続く事例が出てくることを願う。
(完)
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