KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2015.07.07

というわけで、バンコクの路線バスに乗ってみよう。

D23335.jpg

バンコクのバス
2015.02.12/**

▲バス停の様子、大通りのバス停には立派な上屋が付いていることもある

バンコクで最初に乗ったのは48番のバスであった。48番は、スクンヴィット通りからBTS2線が交わるサイアム駅を経由して、観光地として定番のワット・ポーへと向かう路線。事前に入手したバス路線図を手がかりにバス停で待つが、いかんせんバス停には何も情報が無いので不安になる一方である。バスがいつ来るんだかも分からん状態なのだが、しばらくすると目的の48番のバスはやってきた。よかった。

バンコクの路線バスだが、基本的に車掌が乗務するいわゆるツーマン運行となっている。車掌は乗客からの運賃収受を主な業務とするほか、運転手に対してバスの円滑な運行をサポートする役割を持っているようだ。そういえば、車掌が乗務するバスに乗るなんて初めての体験かもしれない。

したがって、運賃は車掌に支払うシステムとなっている。つまり、いくら運賃が複雑な体系になっていようが、結局のところ運賃は車掌に支払うので、車掌が言うがままにお金を出しておけば問題ないので安心だ。乗車距離によって運賃の異なるエアコンバスでは、車掌に行先を告げてから運賃を支払う。昨年に訪れた韓国ではIC乗車券という文明の利器に助けてもらったが、ここバンコクでは逆にアナログもアナログな車掌に助けてもらうのだから面白いものである。

X54651.jpg

バンコクのバス 乗車券

▲バスのチケット、もともとロール状になっているものを車掌がちぎって乗客に渡すシステム

乗車した48番のバスはエアコンの付いていないボロバス(褒め言葉)。エアコンが付いていないだけあって、窓という窓を全開にして走っている。暑季にさしかかっている2月のバンコクでエアコンが無いのはちょっとキツいかなと思いきや、走り始めれば車内を風が通り抜けて、それがとても心地よい。まさしくバンコクという異国の都市の空気を味わっている感じがこの上ない。

そして何より驚いたのが、この車両、フロントエンジンなのである。バンコクのバスには最前部に扉がなく、中途半端な位置に扉が設けられているのはなぜだろうと疑問に思っていたが、それはエンジンが最前部に積まれているからであった。いわゆるキャブオーバーというやつで、運転席の横にエンジンの出っ張りがあるがゆえ、最前部に扉が設けられないわけだ。そんな日本じゃ骨董品のようなバスが、バンコクではゴロゴロ走ってるんだからすごい。バスはエンジンをガーガー言わせながら走って行く。

D23348.jpg

バンコクのバス
2015.02.12/**

▲路線バスを操るソムサック・ラープラタナポーンさん(仮名)
D23355.jpg

バンコクのバス
2015.02.12/**

▲エアコンなしボロバスの車内の様子

さて、バスに乗ったら目的の場所で降りなければならないが、これがまた大変である。なんせ、バンコクではバス停ひとつひとつに名前が付いていない(もしかしたらあるのかもしれないけど,バス停にバス停名称の掲示がない)ようで、したがって車内の放送による次のバス停の案内もない。つまり、自分で周りの景色を見て判断して、それっぽいところで降りなければならないわけだ。

不安であれば、あらかじめ車掌に行先を伝えておくのが良いだろう。行先によって運賃の異なるエアコンバスでは行先を伝えるのはもちろんだが、そうでなくても行先を伝えておけばいざという時になんとかなるはず・・・である。そしてこれは強調しておかねばならないが、車掌がすごく親切! もっとも車掌だけでなくタイ人全般が親切なのだが(もちろんあやしいのもいるけど)、我々をバスに不慣れな観光客と見るや色々と気を使っていただいて、親切にもここで降りろだとか○○はあっちの方だだとか、バスの車掌には(&乗客にも)何度も助けてもらった。

関連記事

タイ 灼熱のバンコク交通見聞 5 - バンコクのバスあれこれ

というわけで、バンコクでも適当にバスを撮ってみた。帰りの飛行機までの時間調整を兼ねてバンコクの交通における要所の1つ、戦勝記念塔(Victory Monument)の大ロータリーに行ってみた...

タイ 灼熱のバンコク交通見聞 5 - バンコクのバスあれこれ
タイ 灼熱のバンコク交通見聞 3 - バンコク路線バス事情

バンコクの交通事情、その3はバスである。バンコクのバスはいかにも前時代的である。前回まで取り上げた軌道系の交通が比較的新しいということもあってとても使いやすいのとは対照的。車両はボロく...

タイ 灼熱のバンコク交通見聞 3 - バンコク路線バス事情
タイ 灼熱のバンコク交通見聞 2 - BTSスカイトレイン走行音篇

バンコクその2。BTSの走行音と、BTS以外の軌道系交通の紹介をば。BTSには2種類の車両が走っているのは前回の記事でご紹介したが、上の2つがSIEMENS製の車両、下の2つが中国製の車両の...

タイ 灼熱のバンコク交通見聞 2 - BTSスカイトレイン走行音篇
タイ 灼熱のバンコク交通見聞 1 - BTSスカイトレイン

半ば恒例化してきた海外の交通事情シリーズ、今回はタイの首都バンコクである。2月のある数日間、バンコクとその周辺を訪れたので、備忘録も兼ねてあれこれ記したいおきたいと思う。バンコクの都市鉄道...

タイ 灼熱のバンコク交通見聞 1 - BTSスカイトレイン
ベトナム ホーチミン・シティの路線バス事情 - 乗車篇

というわけで、乗ってみた。とは言え、いきなりボロボロのバスに乗る度胸は無いので、市内のバスの2大拠点であるベンタイン・バスターミナルとチョロン・バスターミナルを結ぶ1系統に乗ってみる。流石...

ベトナム ホーチミン・シティの路線バス事情 - 乗車篇

最新記事

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K

京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)

空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...

京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える

都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...

都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」

「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...

船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
北総車の京急線内特急運転が復活

約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...

北総車の京急線内特急運転が復活