2016.02.17
バーンレーム駅に着いてきっぷを買っていると、折返し9時5分発メークロン行の列車がやってきた。だいぶヘロヘロな線路の上をTHN系ディーゼルカーが車体を盛大に揺らしながらこちらに向かって走ってくる。これはやばい。はたして保線という概念はあるのだろうか。バラストはどこかに流されてすでに無い。
以前の記事でも何度か触れているとおり、メークロン線のメークロン側バーンレーム〜メークロン間は1日3往復のみの運行となっている。単純に乗客が少ないから列車の本数が少ないのかと思っていたのだが(実際に少ないのだが)、どうやらそうでもないらしい。むしろ乗客が多かろうが少なかろうが、3往復がこの区間の限度のようなのである。その理由は次の通り。
- 列車交換設備のない単線で、全線が1つの閉塞となっている(全線で2本の列車を同時に運転できない)。
- 線路の状態が悪すぎて列車のスピードが出せない。
実は、少し前まで列車の運行は1日4往復あったそうなのだ。ところが、線路の状態が悪すぎてスピードが出せず、ダイヤ通りの運転ができていなかったらしい。なんせ全線で1閉塞なもんだから、1つの列車が遅れれば折返しの列車にも影響し、遅延は雪だるま式に増えてしまう。1日に3往復という運行は、このような実態を反映してダイヤ通りに走れるようにしたダイヤということである。バーンレーム〜メークロン間のたかだか約30kmを各駅停車とはいえ1時間40〜45分もかけて走るのだから、どれだけどいひーな状況なのかおわかりになっていただけよう。
車両は前述のとおりTHN系のディーゼルカーが使用されている。マハーチャイ側では3両編成だったが、こちらは2両編成。いずれもエアコンなしの3等車である。他線区とは一切線路の接続のないメークロン線のメークロン側には2連2本のTHN系気動車が閉じ込められており、適宜車両交換を行ないながら運行している模様。車両交換はバーンレーム駅に設けられている短い側線を使って行なわれている。
◆ ◆ ◆
9時5分、列車は概ね定刻通りに発車。乗客は地元の人がちらほらといった程度で、ガラガラである。列車はのんびりと加速した後、すぐさま惰性走行に移行。沿道を走るスクーターにすらあっさりと追い抜かれる有り様なので、せいぜい30km/h出てるかどうかという感じ。車両は上下左右、あらゆる方向にとにかく揺れまくり! こんな状態でも走るだけなら走れてしまうんだから、鉄道ってタフな乗り物だよなあと逆に感心してしまう。メークロン線メークロン側の車窓は単調で、特にこれといったものもないので、メークロンまでの1時間40分はやばすぎる線路状態と列車の激しすぎる揺れにひたすら耐えるのみ。しかしこれはこれで超楽しいぞ。
何駅目かに停車して、発車しようとした時だったか、我々の乗っている車両が白い煙をあげながらエンストしてしまった。すぐさま職員が復旧しようとするも、ぜんぜんダメ。おいおいこんな何もないところで運転打ち切りかよと不安がよぎったが、もう1両の方のエンジンはちゃんと動いていたので、結局"キハ+キサハ"状態で運行再開となった。それでも列車の遅れは特に発生しなかったし、どうせハナからスピードも出しやしないので、なんだったら最初からその状態の方がお財布にも環境にもやさしいんでないかい。
途中の小駅からの利用もちらほら見られ、ガラガラだった車内もメークロンに近づくにつれて座席が少しずつ埋まってきた。1日3往復の運行では乗客もそんなに多くないだろうと思っていたので、意外な姿であった。そして列車はいよいよメークロン線最大の山場に突入する・・・!
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