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エトセトラ

2017.11.19

京急本線において日中時間帯に品川~京急蒲田間を走る通称"蒲田ローカル"。運行開始から5年を記念して、蒲田ローカルがどういった運行をしているのかを見てみよう(今さら)。後編。(前編はこちら

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京急600形 656編成
2012.11.21/京急川崎

▲京急川崎、品川方の引上線で待機中の蒲田ローカル回送車。下り本線よりこの引上線に直接入線するのが特徴のひとつ

さて、品川~京急蒲田間を走る蒲田ローカルだが、ご存知のとおり京急蒲田は2層高架式の要塞駅なので、品川方面から京急蒲田に到着した列車は同駅で折返すことができない。京急蒲田から種別を回送に変え、多摩川を越えた先の京急川崎まで走って折返しを行なっている。蒲田ローカルは、実際には品川~京急川崎間を走っている。

京急蒲田2番線に到着した蒲田ローカルは、客扱いを終えた後、種別を回送に変更して待機。SH快特と横浜方面エアポート急行、浦賀行普通車をそれぞれ1本ずつやり過ごし、普通車の後追いで京急川崎に向けて発車する。

京急川崎では品川方の引上線を使って折返しを行うが、この折返し方法が実に京急らしい。本線を下ってきた回送車は引上線に直接進入し、再び待機。京急川崎駅における下り本線から引上線への渡り線は2002年10月のD特急1)運行開始に伴い設置されたものだが、これを活用する格好になっている。

その後、上りA快特の発車を見届けて引上線から6番線に入線。この際、京急川崎では客扱いを行わないことから、ホーム中ほどまで入線せずに4両分が入ったところで停止する。そして、この入換が終わったと思ったらあっと言う間に出発信号機が青に変わり、品川方面に回送列車として発車していく。引上線から出てきて上り方面に出発までにかかった時間は1分かそこらといったところ。とにかく早すぎぃ〜

ここでのポイントは、引上線〜6番線の入換だけを本来の担当運転士とは別の運転主任と呼ばれる係員が担当していること。車両が6番線に着いた時点で運転士は品川方の運転台への移動が済んでいるため、素早い折返しが可能となっている。いわゆる二丁ハンドルというやつだ。

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京急1500形 1525編成
2016.3.10/京急川崎

▲品川方の引上線から6番線に進入する蒲田ローカルの回送車。ここで向きを品川方面に転じるが、ホームの中ほどまで入線せずに4両分だけ入ったところで停止。そのままマッハで折返していく。早すぎぃ〜

京急蒲田に戻ってきた蒲田ローカルの回送車は2階の切り欠きホーム5番線に入線するが、到着後すぐに客扱いを開始せずにまたしても待機。後からやってくる普通車が先発するためである。先発の普通車が発車したタイミングを見計らってドア扱い。ようやく普通品川行として走っていく。

以上、下り列車の京急蒲田到着から京急蒲田の上りホームまで戻ってくるまでを文章に起こしてみたものの、とてもややこしくて面倒くさい方法ということがお分かりいただけたと思う。この間に約35分もかかっており、仮に京急蒲田で折返しできたならば3本の編成で回せるところを4本の編成が必要となっている。京急川崎まで走るのなら雑色と六郷土手にも停車して京急川崎発着の普通車として運転したらいいじゃん~と思ってしまいたくなるが、京急川崎における折返し方法などの理由から京急蒲田~京急川崎間は営業運転を行うことができず、少しばかり非効率な運行系統になっている気がしないでもない。

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京急1500形 1525編成
2016.7.5/京急蒲田

▲横浜方から蒲田ローカルの始発となる京急蒲田の5番線に入線
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京急1500形 1525編成
2016.7.5/京急蒲田

▲6番線から先に発車する普通車があるため、そのまま回送状態でしばし待機。がらんどうの京急蒲田5番線

◆ ◆ ◆

そんな蒲田ローカルの今後を少しだけ占ってみよう。

2016年4月、国土交通省の諮問機関である交通政策審議会は、今後の首都圏の鉄道における整備方針についてまとめた「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について2)」を国土交通大臣に対して答申した。この答申の中で、京急空港線羽田空港国内線ターミナル駅引上線の新設が、国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクトの1項目として挙げられている。品川駅の2面4線化と合わせて、羽田空港を発着する列車の増発を目的としたものである。

羽田空港国内線ターミナル駅に引上線を設けることで、1時間あたりの運行本数を12本から15本にすることができるという。現行ダイヤの日中時間帯においては、既に品川方面の快特・エアポート快特と横浜方面のエアポート急行がそれぞれ毎時6本走っており、合わせて1時間あたり12本。引上線が新設されればこれに毎時3本だけ何かを加えられることになるが、それが蒲田ローカルを空港線方向に延長したものとはならないだろうか。

もちろん、多額の費用を投じて作り出した増発分が空港線内の普通車に使われる可能性は低いだろうけど、京急蒲田を通過するエアポート快特の再増発などとバーターで実施すれば、大田区も嫌な顔3)をしないはず?? ともかく、蒲田ローカルを羽田空港方面に振ることができれば、現状で京急川崎まで回送するという無駄を省くことができるし、何より2012年10月ダイヤ改正で京急蒲田での乗換えを強いられるようになった日中時間帯における本線品川方面エアポート急行停車駅~空港線各駅の移動が再び直通になるという恩恵もある。はたして蒲田ローカルが空港ローカルに化ける日は来るだろうか。

  • 1)羽田空港〜新逗子間で運行していた系統。京急川崎〜金沢文庫は品川方面発着の快特に増結。京急川崎の下り場面では、下り本線から引上線に直接入線し、引上線で後続の快特を待避した後、その快特に増結を行っていた。
  • 2)東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(答申)[PDF] - 2016年4月20日、交通政策審議会。28ページ。
  • 3)2010年5月ダイヤ改正でエアポート快特を増やしまくったら大田区にめっちゃ怒られた。

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