KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2021.01.26

京成電鉄や北総鉄道などでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い、1月20日より終電の繰上げを実施している。どういった内容なのか見てみよう。

X68651.jpg

京急600形 601編成
2017.12.29/新鎌ヶ谷

▲緊急事態宣言に伴う終電繰上げで品川行に変更され、そのまま見納めになってしまいそうな感じのアクセス特急金沢文庫行2324H

終電の繰上げは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い、国および1都3県知事からの要請を受けたものである。終電繰上げについては春のダイヤ改正で実施されることが既に明らかになっているが、今回の終電繰上げはダイヤ改正の前倒しではなく、あくまでも別の内容。現行ダイヤの中で対応できる範囲での変更にとどまっている。

以下、緊急事態宣言発出に伴う終電繰上げについて、都営浅草線から京成線・北総線方面の状況について記す。

行先変更となる列車

▽平日

  • 2337N普通印旛日本医大行→京成高砂行(京急線内エアポート急行)
  • 2259H普通京成高砂行→浅草橋行(京急線内特急)
  • 2252H普通三浦海岸行→京急久里浜行(押上から特急)
  • 2322T普通西馬込行→泉岳寺行
  • 2324Hアクセス特急金沢文庫行→品川行(押上から普通)
  • 2452T普通浅草橋行→押上行

▽土休日

  • 2339N普通印旛日本医大行→京成高砂行(京急線内エアポート急行)
  • 2373K普通京成高砂行→浅草橋行
  • 2334T普通西馬込行→泉岳寺行
  • 2426T普通浅草橋行→押上行

以上の行先変更により、浅草橋→印旛日本医大、押上→浅草橋、泉岳寺→西馬込でそれぞれ終電が繰上がる。繰上げの幅は、平日において京成高砂→印西牧の原と泉岳寺→西馬込で約10分、浅草橋→京成高砂と押上→浅草橋で約15分。繰上げが最も大きいのが北総線の印西牧の原→印旛日本医大で、約35分の繰上げとなる。

Z04004.jpg

京成線・北総線ほか 緊急事態宣言発出に伴う終電繰下げ(平日)

▲緊急事態宣言発出に伴う終電繰下げの状況(平日)
終着駅到着後もそのまま回送列車として運行

前述のように、終電繰上げは現行ダイヤの中で対応できる範囲で行っている模様である。車両の運用や乗務員の行路を極力いじらないように行先変更を実施していることから、上記の行先変更を行った全ての列車において、終着駅到着後も行先変更前の終着駅まで回送列車として運行するようになっている。例えば、2259Hは浅草橋到着後京成高砂まで回送、2322Tは泉岳寺到着後西馬込まで回送といった具合。

極端なのは印旛日本医大行から京成高砂行に変更している平日2337N・土休日2339Nで、京成高砂で営業運転を終了した後、車両が停泊する印旛日本医大まで延々と回送される。結局は走るのだから乗せてくれよという感じだが、終電繰上げが緊急事態宣言下における夜間の外出自粛を踏まえたものである以上、致し方ないところなのであろう。

終電繰上げで出現した珍列車たち

このように所定の列車を運行途中で営業打切りするような格好で終電を繰上げているため、通常のダイヤでは考えられないような珍列車が出現してしまっている。その事例をいくつか記しておこう。

  • 平日2322T・土休日2334T普通泉岳寺行:都営浅草線南行の泉岳寺行は約30年ぶりの登場。特に、北総線から泉岳寺行が走るのは初めて。
  • 平日2324Hアクセス特急品川行:品川行のアクセス特急は初めての設定となる。
  • 平日2259H特急浅草橋行:ダイヤ乱れの際の運転整理でたびたび見られる特急浅草橋行だが、所定の行先として走るのは初めてだろうか。なお、2011年3月の東日本大震災に伴う臨時ダイヤではエアポート急行浅草橋行が走っていたことがある。
  • 土休日2373K普通浅草橋行:京成車の浅草橋行は震災臨時ダイヤ以来の設定。京成車の浅草橋表示は通常の行先設定の手順では出すことができないが、表示制御器を操作するいわゆる強制表示という方法できちんと浅草橋表示を行っている模様(ただし、強制表示の場合は車内の案内表示器が動作しない)。
このまま春のダイヤ改正を迎える可能性も?

緊急事態宣言発出に伴う終電繰上げはいつまで実施されるのだろうか。当初、報道では緊急事態宣言終了に合わせた2月7日までの見通しということだったが、終電繰上げを実施している鉄道事業者はいずれも当面の間とアナウンスしているのが実情であり、結局のところよく分からないといったところ。当面の間としているのは、やはり先の状況が見えないというあたりが大きいように思われる。期日を設定しても後にそれが変更されるとなれば、手間がかかる上に印象もあまりよくない。

実際、政府内では緊急事態宣言を1か月ほど延長する案が出てきているとされる。緊急事態宣言が延長されれば、終電繰上げの継続も必至。3月上旬まで終電繰上げが続くのならばそのまま正式に終電が繰上げとなるダイヤ改正を迎える可能性が高く、そうした場合、ダイヤ改正で行先変更が確定している2324Hアクセス特急金沢文庫行(冒頭の写真)などは既に見納めになってしまっているということになる。

関連記事

京成線の終電繰り上げと始発繰り下げ 新ダイヤを予想する

新型コロナウイルス感染症の流行による深夜の鉄道利用の減少と、夜間の保守作業の時間確保を目的に、JR東日本を始めとした首都圏の各鉄道事業者では終電の繰り上げがひとつのトレンドになっている。このほど...

京成線の終電繰り上げと始発繰り下げ 新ダイヤを予想する
京成線 印旛日本医大始発「臨時ライナー」運転開始

印旛日本医大始発「臨時ライナー」が登場。京成電鉄では、10月1日よりAE形を使用した印旛日本医大始発「臨時ライナー」の運転を開始した。停車駅は印旛日本医大、千葉ニュータウン中央、青砥、日暮里...

京成線 印旛日本医大始発「臨時ライナー」運転開始
京成線 スカイライナー青砥停車の増

京成線、青砥に停車するスカイライナーを拡大。京成線では、新型コロナウイルス感染症の影響で4月11日から一部のスカイライナーの青砥停車、5月1日からスカイライナーの減便といった内容のダイヤ変更を...

京成線 スカイライナー青砥停車の増
京成線 スカイライナーの一部列車の運休を実施

スカイライナー、一部列車の減便を実施。京成電鉄では、5月1日よりスカイライナーの減便の実施を開始した。新型コロナウイルス感染症に伴う政府からの緊急事態宣言、および外出自粛要請等を踏まえたものに...

京成線 スカイライナーの一部列車の運休を実施
京成線 スカイライナーの一部青砥停車開始

スカイライナー、一部列車の青砥停車始まる。京成電鉄では、4月11日よりスカイライナーの一部列車の青砥停車を開始した。対象となるのは、平日と土休日ともに京成上野を6〜7時台に発車する下り列車...

京成線 スカイライナーの一部青砥停車開始

最新記事

北総7500形 『鉄道むすめ』コラボヘッドマークを掲出

2人の「まきの」がコラボレーション。北総鉄道では、11月中旬から12月上旬にかけて、7500形7503編成において『鉄道むすめ』ヘッドマークの掲出を実施した。伊豆箱根鉄道とのコラボレーション企画...

北総7500形 『鉄道むすめ』コラボヘッドマークを掲出
東洋バス路線図 2024年12月1日版

当Webサイトでは2024年5月に「東洋バス路線図2024年5月1日版」を公開していたところであるが、本稿において約7ヶ月ぶりとなる改訂版を発行する。東洋バスでは12月1日に路線の改廃を含む...

東洋バス路線図 2024年12月1日版
北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施

「ウマ娘」たちが北総線西白井駅を駆ける。北総鉄道では、10月中旬より西白井駅において『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の特別装飾を実施している。『ウマ娘』とは、株式会社Cygames...

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施
「都営フェスタ2024 in浅草線」開催

5年ぶりの祭典。11月30日、東京都交通局馬込車両検修場で車両基地公開イベント「都営フェスタ2024 in浅草線」が開催された。三田線の志村車両検修場と交互で概ね2年に1度に開催されるイベント...

「都営フェスタ2024 in浅草線」開催
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定

京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...

京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定