2021.01.26
京成電鉄や北総鉄道などでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い、1月20日より終電の繰上げを実施している。どういった内容なのか見てみよう。
終電の繰上げは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い、国および1都3県知事からの要請を受けたものである。終電繰上げについては春のダイヤ改正で実施されることが既に明らかになっているが、今回の終電繰上げはダイヤ改正の前倒しではなく、あくまでも別の内容。現行ダイヤの中で対応できる範囲での変更にとどまっている。
以下、緊急事態宣言発出に伴う終電繰上げについて、都営浅草線から京成線・北総線方面の状況について記す。
行先変更となる列車
▽平日
- 2337Nレ普通印旛日本医大行→京成高砂行(京急線内エアポート急行)
- 2259Hレ普通京成高砂行→浅草橋行(京急線内特急)
- 2252Hレ普通三浦海岸行→京急久里浜行(押上から特急)
- 2322Tレ普通西馬込行→泉岳寺行
- 2324Hレアクセス特急金沢文庫行→品川行(押上から普通)
- 2452Tレ普通浅草橋行→押上行
▽土休日
- 2339Nレ普通印旛日本医大行→京成高砂行(京急線内エアポート急行)
- 2373Kレ普通京成高砂行→浅草橋行
- 2334Tレ普通西馬込行→泉岳寺行
- 2426Tレ普通浅草橋行→押上行
以上の行先変更により、浅草橋→印旛日本医大、押上→浅草橋、泉岳寺→西馬込でそれぞれ終電が繰上がる。繰上げの幅は、平日において京成高砂→印西牧の原と泉岳寺→西馬込で約10分、浅草橋→京成高砂と押上→浅草橋で約15分。繰上げが最も大きいのが北総線の印西牧の原→印旛日本医大で、約35分の繰上げとなる。
終着駅到着後もそのまま回送列車として運行
前述のように、終電繰上げは現行ダイヤの中で対応できる範囲で行っている模様である。車両の運用や乗務員の行路を極力いじらないように行先変更を実施していることから、上記の行先変更を行った全ての列車において、終着駅到着後も行先変更前の終着駅まで回送列車として運行するようになっている。例えば、2259Hレは浅草橋到着後京成高砂まで回送、2322Tレは泉岳寺到着後西馬込まで回送といった具合。
極端なのは印旛日本医大行から京成高砂行に変更している平日2337Nレ・土休日2339Nレで、京成高砂で営業運転を終了した後、車両が停泊する印旛日本医大まで延々と回送される。結局は走るのだから乗せてくれよという感じだが、終電繰上げが緊急事態宣言下における夜間の外出自粛を踏まえたものである以上、致し方ないところなのであろう。
終電繰上げで出現した珍列車たち
このように所定の列車を運行途中で営業打切りするような格好で終電を繰上げているため、通常のダイヤでは考えられないような珍列車が出現してしまっている。その事例をいくつか記しておこう。
- 平日2322Tレ・土休日2334Tレ普通泉岳寺行:都営浅草線南行の泉岳寺行は約30年ぶりの登場。特に、北総線から泉岳寺行が走るのは初めて。
- 平日2324Hレアクセス特急品川行:品川行のアクセス特急は初めての設定となる。
- 平日2259Hレ特急浅草橋行:ダイヤ乱れの際の運転整理でたびたび見られる特急浅草橋行だが、所定の行先として走るのは初めてだろうか。なお、2011年3月の東日本大震災に伴う臨時ダイヤではエアポート急行浅草橋行が走っていたことがある。
- 土休日2373Kレ普通浅草橋行:京成車の浅草橋行は震災臨時ダイヤ以来の設定。京成車の浅草橋表示は通常の行先設定の手順では出すことができないが、表示制御器を操作するいわゆる強制表示という方法できちんと浅草橋表示を行っている模様(ただし、強制表示の場合は車内の案内表示器が動作しない)。
このまま春のダイヤ改正を迎える可能性も?
緊急事態宣言発出に伴う終電繰上げはいつまで実施されるのだろうか。当初、報道では緊急事態宣言終了に合わせた2月7日までの見通しということだったが、終電繰上げを実施している鉄道事業者はいずれも当面の間とアナウンスしているのが実情であり、結局のところよく分からないといったところ。当面の間としているのは、やはり先の状況が見えないというあたりが大きいように思われる。期日を設定しても後にそれが変更されるとなれば、手間がかかる上に印象もあまりよくない。
実際、政府内では緊急事態宣言を1か月ほど延長する案が出てきているとされる。緊急事態宣言が延長されれば、終電繰上げの継続も必至。3月上旬まで終電繰上げが続くのならばそのまま正式に終電が繰上げとなるダイヤ改正を迎える可能性が高く、そうした場合、ダイヤ改正で行先変更が確定している2324Hレアクセス特急金沢文庫行(冒頭の写真)などは既に見納めになってしまっているということになる。
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