KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2013.10.25

さようなら、飛行機マーク。

D15393.jpg

京成3000形 3001編成
2012.8.11/八 広

▲2010年7月以降、早朝に1本だけ走っていた「(飛)快速」
  • [平日]580K (飛)快速羽田空港
  • 始発:宗吾参道521 → 終着:羽田空港702
  • ダイヤ:2012.10.21改正
  • 備考:押上からエアポート快特
  • [土休日]566K (飛)快速羽田空港
  • 始発:宗吾参道521 → 終着:羽田空港704
  • ダイヤ:2012.10.21改正
  • 備考:押上からエアポート快特

ダイヤ改正前恒例の消えてしまう珍列車シリーズ、今回はこの列車以外に挙げるものはないだろう。早朝に設定されている(飛)快速羽田空港行である。列車自体は残存するものの、10月26日のダイヤ修正で「(飛)快速」の種別が消滅となるため、26日以後は飛行機マークなしの快速羽田空港行としての運転となる。以前紹介した506Tと同様、以前は当たり前のように走っていた列車なので、珍列車として取り上げるのにはいささか違和感を覚えるのだが、とは言え現在のダイヤでは1日1本のみのれっきとした珍列車なので、やはり取り上げないわけにはいくまい。

早朝に運転される当列車は2004年10月ダイヤ改正で登場したものとなっている。早朝における京成本線から羽田空港への速達列車となることから、同改正の目玉の1つとされており、当時配布されたダイヤ改正のパンフレットにも「早朝に『(飛)快速』を運転」の文字が踊っていた。2004年10月の時点では平日、土休日ともに都営車の運用(506T)で、この列車に充当するためにこの時から都営車の宗吾参道停泊が設定されたのであった。このように当初は都営車の運用であったが、2006年12月ダイヤ改正で土休日の列車が京成車の運用となり、2012年10月ダイヤ改正で平日も京成車となった。

(飛)快速自体は、成田スカイアクセス線が開業した2010年7月ダイヤ改正以前においては比較的見る機会の多い種別であった。2002年10月ダイヤ改正で登場した飛行機マーク付きの(飛)快速は、京成本線上り快速のうち押上からエアポート快特になる列車に対して使われており、なおかつ日中は京成本線からの快速が羽田空港まで直通する運行系統だったため(飛)快速を多数見ることができた。エアポート快特が40分毎の運転だったため、(飛)快速も40分おきに走っていた。成田スカイアクセス線が開業すると、日中の京成線からの羽田空港行は成田スカイアクセス線を走るアクセス特急と繋がる運行系統になり、日中の京成本線からの快速はそれまでの羽田空港行から西馬込行に振替えられたため、(飛)快速を使う機会がごっそりと失われてしまった。この2010年7月ダイヤ改正で唯一残ったのが表題の平日580Kおよび土休日566Kというわけである。早朝の(飛)快速は、言わば残党だったのだ。

ところで、鉄道各社は1つの種別に対して1つの色をあてていること(特急=赤、急行=青など)が多いが、この(飛)快速は何色になるのだろうか。2002年10月ダイヤ改正で(飛)快速が登場した当時はエアポート快特に合わせたであり、おそらく今も緑をイメージされる方が多いだろうと思われる。しかし、2010年7月ダイヤ改正の時に作成された路線図は通常の快速とひとまとめにされてピンクで案内されており、同時期に登場したフルカラー対応のLED式発車標も(飛)快速の地色はピンクとなっている。このため、種別幕だけ登場時の緑のままになっている格好である。しかし、それも同改正で種別幕を交換する機会があったはずで、その時に種別色をピンクに統一できなかったのか疑問が残るところではある。早朝1本のみの設定ということと合わせて、末期はとにかく中途半端という印象が拭えない列車であった。

R00272.jpg

京成線停車駅案内 快速の凡例
2013.10.16/**

▲停車駅案内では通常の快速とまとめてピンク色で案内されていた(飛)快速
R00262.jpg

青砥駅のフルカラー対応発車標と3400形の種別幕
2013.10.11/**

▲フルカラーの発車標はピンク色、種別幕は緑色

◆ ◆ ◆

余談ながら、「(飛)快速」からただの「快速」になるはずの平日580Kと土休日566Kについて、2013年10月26日ダイヤ修正号となる京成時刻表Vol.26-2では時刻表上の種別が「エアポート快速」のままになってしまっており、種別の消滅ですら中途半端な形になってしまった。

関連記事

四直珍列車研究 66 - 平日 1933T

平日1933Tレは、平日夜間に運転されている都営車の通勤特急成田行である。京成線における2013年10月のダイヤ修正は比較的小規模なものであったが、過去に消滅した列車の復活が目立つダイヤ修正の...

四直珍列車研究 66 - 平日 1933T
四直珍列車研究 64 - 平日 644T

平日644Tは北総線からの神奈川新町行である。2012年10月のダイヤ改正で登場した列車で、現行のダイヤでは泉岳寺以北で見られる唯一の神奈川新町行となっている。北総線から京急線に向けては羽田空港...

四直珍列車研究 64 - 平日 644T
四直珍列車研究 63 - 平日 1993H

北総線内を急行で走る京急車。1993Hは、平日の夜に運転されていた京急車の急行印旛日本医大行である。2010年7月のダイヤ改正で登場した列車で、それまで高砂止だった同列車を印旛日本医大まで延長...

四直珍列車研究 63 - 平日 1993H
四直珍列車研究 62 - 平日 514T

都営車のオレンジエアポート快特。平日514Tは早朝に1本だけ設定されている都営車のエアポート快特である。都営車のエアポート快特は1998年11月ダイヤ改正での種別新設時から多数の設定があったが...

四直珍列車研究 62 - 平日 514T
四直珍列車研究 61 - 平日 1870K

1870Kレは平日夕方に運転される成田空港発特急羽田空港行である。2012年10月のダイヤ改正で登場した列車で、久々となる京成本線からの特急羽田空港行となっている。京成車の特急羽田空港行は...

四直珍列車研究 61 - 平日 1870K

最新記事

最新記事

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K

京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)

空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...

京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える

都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...

都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」

「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...

船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
北総車の京急線内特急運転が復活

約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...

北総車の京急線内特急運転が復活