2016.07.10
ポルトガルその5。再びポルトガル鉄道(CP)の話題に戻って、特急「インテル・シダーデス」(Intercidades)をば。
インテル・シダーデスという名称だが、インテルはinterのポルトガル語読み、cidadesは同じくポルトガル語でcityという意味なので、要するにポルトガル鉄道におけるインターシティ(IC)である。インテル・シダーデスはアルファ・ペンドゥラール(Alfa Pendular)と同じようにリスボン〜ポルト間を中心に走る優等列車。アルファ・ペンドゥラールとの違いは、停車駅がアルファ・ペンドゥラールより多いほか、速度もアルファ・ペンドゥラールの最高速度220km/hほどは出せないので、アルファ・ペンドゥラールを"特急"と位置づけるならインテル・シダーデスは"準特急"といった感じ1)。アルファ・ペンドゥラールの走らない支線区間に列車の設定があるのも特徴で、オーストリア鉄道のrailjetに対するICのように、インテル・シダーデスはアルファ・ペンドゥラールを補完する役割を果たしていると言える。
リスボン→ポルトの移動ではアルファ・ペンドゥラールに乗ったので、インテル・シダーデスにも乗ってみようということになった。途中、コインブラという街に寄り道をしてリスボンへ戻るという行程である。リスボン〜ポルト間を走るインテル・シダーデスはいわゆる客車列車となっており、電気機関車が客車を引っ張って走るといういかにもインターシティらしい列車の組成。私としては、客車列車は2013年にバルセロナに行った時も翌2014年にバンコクに行った時も乗り逃していたので、ようやく乗ることが叶った。電車タイプの車両を使用したインテル・シダーデスも走っており、それに当たったら嫌だなと思っていたが、電車タイプのものは主に支線方面で使われているとのこと。
客車列車のインテル・シダーデスは概ね機関車+客車4両ないし6両という編成となっており、編成中の1両は必ず1等車、もう1両は1等車とビュッフェの合造車が連結されるという車両の構成。その他は2等車である。バカンスシーズンなどは混雑緩和のため増結することもあるようで、このへんのやりくりは客車列車という強みを活かしている。インターシティのような特急列車だと客室はコンパートメントを想像するが、インテル・シダーデスの客車はアルファ・ペンドゥラールと同じく集団見合式で2+2で4列の座席が並んでいる。(1等車は1+2の3列)。座席は回転もリクライニングもしない仕様で、ここらへんはアルファ・ペンドゥラールと同じ。
さて、せっかく乗ることができた客車列車のインテル・シダーデスだが、乗った時間帯があまりよくなかった。スケジュールの都合で夜間の乗車になってしまったのだが、どうも窓ガラスが透過率の低い極悪フルスモーク仕様のようで、外の景色が全く見えん! 外の風景を見ようにも窓ガラスには自分の汚い顔が反射して映るのみ。こんなとこまで来てそんなもん見たくないんじゃああ〜〜。日本とは段違いに都市と農村がはっきり分かれているポルトガルで夜の車窓を楽しもうという方が無茶と言われればそうなのだが、夜にだって客車の規則正しいジョイント音が響く中にときどき小さな明かりが窓の外を流れ行くという旅情がそれなりにあるわけで・・・。ということでせっかく客車列車に乗れたのはいいが、おかげさまでだいぶ退屈な移動となってしまった。
- 1)ポルトガル鉄道の時刻表等では、アルファ・ペンドゥラールは「AP」、インテル・シダーデスは「IC」と案内される。
- ツイート
- #
関連記事
ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス
ポルトガルの中部の都市、コインブラをブラブラ・・・(ぉ ポルトガルの中部に位置する都市、コインブラ。丘の上にあるコインブラ大学を中心に発展し、ポルトガル中央部を代表する都市である。コインブラ大学...
ポルトガル周遊の記 4 - ポルト市電
ポルトガルその4はポルトを走る路面電車、ポルト市電をご紹介。ポルトもかつては市内を路面電車がくまなく走る都市だったようだが、やはりモータリゼーションの波を受けて路線バスへの置換えが進み...
ポルトガル周遊の記 3 - ポルトメトロのトラム・トレイン
ポルトガルその3はポルトの都市交通、ポルトメトロ(Metro de Porto)をば。ポルトメトロは2004年に開業したポルトの交通システムである。メトロという名前ではあるが、日本語でいう...
ポルトガル周遊の記 2 - ポルト=サン・ベント駅
列車でポルトに到着したなら、まずその足で見ておきたいのはポルト旧市街の中心にあるサン・ベント(São Bento)駅である。1900年に建てられたというその駅舎はガイドブックにも載るほどポルトの...
ポルトガル周遊の記 1 - 特急「アルファ・ペンドゥラール」
2月の上旬にポルトガルに行ってきましたよっ。周遊ってほどではないけれど、ポルトガルの首都リスボンから入ってポルト→コインブラ→リスボン→シントラ(ロカ岬)→リスボンという具合にポルトガル国内を...
最新記事
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...