KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2016.10.21

ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語)

X60280.jpg

リスボン=ロシオ駅 ホーム
2016.2.12/**

▲ロシオ駅で発車を待つポルトガル鉄道の近郊列車

前回の記事でご紹介したように、ロカ岬への行き方は2通り。ロカ岬へ向かう路線バスの都合上、シントラを経由するかカスカイスを経由するか、である。今回は世界遺産になっているシントラの観光も兼ねて、シントラ経由で行くこととなった。そこからロカ岬へ向かい、同じ道を戻るのは嫌なので帰りはカスカイス経由でリスボンに帰ってくるといった行程である。シントラ行の列車はオリエント駅から20分間隔、ロシオ駅から30分間隔で出ているが、今回は泊まったホテルの都合でロシオ駅から列車に乗る。

リスボン=ロシオ駅は1890年に開業した歴史のある駅である。リスボン中心部のロシオ広場に接しており、1950年代まではリスボンの中央駅として機能していたそう。現在はサンタ・アポローニャ駅やオリエンテ駅にリスボンの玄関口としての地位は譲っているものの、近郊列車の発着するターミナル駅として現在ももちろん現役である。ロシオ駅で何と言っても素晴らしいのは、1890年の駅開業時に建てられた駅舎が現在も現役であるということ。ロシオ広場に面したマヌエル様式の建築はもはや歴史的建造物である。本来ならば駅舎に掲げられているはずであるポルトガル鉄道のロゴ等はいっさい排除されており、外観は一見してこれが駅だとははっきり言って分からない。駅舎に入り、エスカレーターを上がると改札の奥に頭端式のプラットホームが広がっている。なお、リスボン地下鉄にも同名の駅が存在するが、ポルトガル鉄道のロシオ駅へはレスタウラドーレス広場駅の方が近いので注意されたし1)

X59556.jpg

リスボン=ロシオ駅 正面
2016.2.9/**

▲ロシオ駅の正面。劇場か何かと見まごうほどの立派な建築である。一見してこれが鉄道の駅だとは思うまい
X60275.jpg

リスボン=ロシオ駅 改札
2016.2.12/**

▲改札と改札の奥に広がる頭端式のホーム。ずらりと並んだ自動改札機は通勤客の多さを感じさせる。リスボンの阪急梅田と勝手に名付けておきたい

乗車したのは8時11分始発のシントラ行2)。車両は前回の記事でご紹介した2300形・2400形電車、通勤型車両ではあるものの座席はオールクロスシートである。ロシオ駅を出発した列車はすぐにトンネルに突入、のっけからリスボンもポルトと同じように起伏に富んだ土地の上にあることを感じさせられる。リスボンは"7つの丘の街"と言われるほどの都市で、この全長2,600mのロシオトンネルはリスボン中心部に鉄道を引き込むための切り札なのであった。ロシオ駅とともに130年近くの歴史を持つトンネルだが、2004〜2008年に改修工事が行なわれたということで、列車の光によって見えるコンクリートの壁面は歴史のあるトンネルのものとは思えぬとても綺麗な状態。改修工事は路線の運休を伴う大規模なものだったそうだが、モノを長く大切に使うのに長けたヨーロッパらしいメリハリのあるやり方である。

ロシオトンネルを抜け、車庫を併設しているカンポルーデ駅を出発すると、オリエンテ駅方面からの線路と合流する。オリエンテ駅方面からの線路はリスボン首都圏の近郊列車だけでなく、カルダス・ダ・ライーニャ方面に向かう中長距離列車も走るので、ここからしばらくは複々線区間。ちょうどこの区間で我々の乗ったリスボン行の列車とオリエンテ駅方面からやってきた同じ2300形・2400形電車と並走という形となった。ダイヤはそこまで過密でないはずなのでたまたまなんだろうけど、前回の記事でご紹介したように車両の雰囲気が日本の鉄道車両に似ているということもあって、山手線と並走する京浜東北線に乗っているような感じがしてちょっと変な気分。ポルトガルで電車に乗っているはずなのに。

X60284.jpg

ポルトガル鉄道 2300形電車
2016.2.12/Sintra

▲シントラ駅に到着した2300形電車。折返しリスボン方面行になる

8時51分、概ね定刻でシントラに着いた。やはり起伏の激しいところを走っているためなのか、最初のロシオトンネルを除いてやたらとくねくねとした線形という印象。そして、いつの間にか標高の少し高いところに走ってきていたようで、霧が酷い。シントラが山の中という土地柄だからなんだろうけども、とにかく天気が変わりやすい上に霧が発生しやすいところのようで、せっかくの古城めぐりも霧に悩まされることになる・・・。

  • 1)リスボン地下鉄でも公式的にレスタウラドーレス広場駅をポルトガル鉄道ロシオ駅への乗換駅として案内してある。
  • 2)ロシオ駅からはミラ・シントラ=メレサスという紛らわしい行先の列車も発着しているが、ミラ・シントラ=メレサス行の列車はシントラには行かないので注意されたし。

関連記事

ポルトガル周遊の記 10 - シントラ&ロカ岬へのバス

シントラからヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ向かう。シントラからロカ岬へは路線バスを利用する。以前の記事でも記したように、ロカ岬へ向かう路線バスがシントラ〜ロカ岬〜カスカイスというふうに走っている...

ポルトガル周遊の記 10 - シントラ&ロカ岬へのバス
ポルトガル周遊の記 8 - リスボン首都圏の近郊列車

せっかくポルトガルまで来たのだから、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語) ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ。ヨーロッパ大陸最西端っていうと果てしなく壮大なイメージだが...

ポルトガル周遊の記 8 - リスボン首都圏の近郊列車
ポルトガル周遊の記 7 - リスボン=オリエンテ駅

ポルトからコインブラと回って、いったんリスボンへ帰還。以前の記事でポルト=サン・ベント駅を取り上げたが、今回はリスボンを代表してリスボン=オリエンテ駅を紹介しよう。オリエンテ駅は比較的新しい駅で...

ポルトガル周遊の記 7 - リスボン=オリエンテ駅
ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス

ポルトガルの中部の都市、コインブラをブラブラ・・・(ぉ ポルトガルの中部に位置する都市、コインブラ。丘の上にあるコインブラ大学を中心に発展し、ポルトガル中央部を代表する都市である。コインブラ大学...

ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス
ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」

ポルトガルその5。再びポルトガル鉄道(CP)の話題に戻って、特急「インテル・シダーデス」(Intercidades)をば。インテル・シダーデスという名称だが、インテルはinterのポルトガル語...

ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」

おすすめの記事

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K

京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)

空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...

京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える

都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...

都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」

「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...

船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
北総車の京急線内特急運転が復活

約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...

北総車の京急線内特急運転が復活