2016.11.08
シントラからヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ向かう。
シントラからロカ岬へは路線バスを利用する。以前の記事でも記したように、ロカ岬へ向かう路線バスがシントラ〜ロカ岬〜カスカイスというふうに走っているので、これに乗車。カスカイスとシントラを中心に路線を展開しているSCOTTURBという会社の路線バスで、路線番号は403番である。30分間隔で走っているのでそこそこ利用しやすい。ただし、早朝6、7時台と20時台のバスはロカ岬を経由しないので注意が必要である(もっともこんな時間にロカ岬を訪れる観光客などいないと思うが)。
このSCOTTURBというバス会社、路線によって車種を揃えて走らせているようで、ロカ岬を経由する403番はベンツ製のノンステップ車両であった。ボディはポルトガルのIrmãos MotaというメーカーがAtomicというブランドで展開しているもののようで、同メーカーの公式Webサイトからそれらしきものを探すとAtomic Urbanoという車両ということのようである。それにしてもどエライ目つきだこと・・・。
バスはところどころで幹線道路を外れて集落の中に入っていく。観光客にとってはロカ岬へ向かうための路線かもしれないが、地元の住民の足でもあるわけだ。そしてシントラ側からロカ岬にアクセスすると、途中のコラレス付近までシントラ市営軌道と並走する。シントラ市営軌道はシントラとPraia das Maçãs(マサス海岸)を結ぶ小さな路面電車で、現在は完全に観光用として走っている。運行日はかなり限られているようだが、運が良ければバスの中からこのシントラ市営軌道の電車が見られるかもしれない。何ならシントラ市営軌道に乗るということを観光に組み込むというのも楽しいかも。
シントラからロカ岬は概ね40分。ロカ岬も幹線道路から完全に外れたところにあって、そこまではやはり小さな集落を抜けていく。ロカ岬と言えばかつて北海道の某4人組がたどり着けずに終わったところだが、実際に来てみるとそれも何となく分かる気がするのは、縮尺の大きい地図だとたどり着くのがけっこうキツいと思う(笑)
◆ ◆ ◆
このほかシントラの文化遺産を巡るのに便利なのが434番の"Circuito da Pena"、ペーナ循環バスである。シントラ駅を起点に旧市街(シントラ宮殿)~ムーアの城跡~ペーナ宮殿(~旧市街~シントラ駅)と回ってくれる路線で、前述の403番とは異なりこちらは観光客向けに特化したもの。車両も特別なラッピングがしてあるMAN製Lion's Cityのショートボディ車両が使用されている。ペーナ宮殿はシントラの山の中にあって、ペーナ道路という狭隘な山岳道路を走っていくが、途中で切り返さないと曲がれない鋭角カーブがあったりしてなかなか楽しい。15分間隔で走っているのもGood。
シントラは世界遺産の観光名所ということもあって、乗車券類が充実している。このSCOTTURBで使える一日乗車券はもちろんのこと、SCOTTURBとポルトガル鉄道とが連携した乗車券も発売している。私が今回利用したのは「Train & Bus」というポルトガル鉄道のリスボン近郊線とSCOTTURBのバスが一日乗り放題になる乗車券(15ユーロ)。リスボンからシントラ&ロカ岬の日帰り旅行であれば、たぶんこれが最も便利な乗車券だと思う。私はリスボン=ロシオ駅の窓口で購入、購入の際はリスボン都市圏共通のIC乗車券「Viva Viagem」に乗車券の情報を入れてもらう格好となる。あとは電車に乗るのもバスに乗るのもICカードリーダにこの「Viva Viagem」をタッチするだけなので、いちいち乗車料金を支払わずに済むのもよい。
ところでこの「Viva Viagem」、紙のきっぷなのにICチップ内蔵で日本のSuicaみたいに使えて有能かと思ったら、2つ以上の情報を1度に記憶できないというちょっとお馬鹿な困ったちゃん。ロカ岬を回ってカスカイス経由でリスボンに戻ってきた後、地下鉄に乗るため「Viva Viagem」にいくらかチャージしようと思ったら、既に「Train & Bus」の情報が入っているということで弾かれてしまった。あえなく2枚目の「Viva Viagem」を購入する羽目に・・・。逆に、少しでもチャージ金額が残っていると今度は乗り放題系の情報が入れられないという仕様となっている。IC乗車券と言えども紙のきっぷだからすぐにヘロヘロになるし、便利なんだか便利じゃないんだかよくわからないあたりがヨーロッパクオリティといったところか。
- ツイート
- #
- 海外のバス
- 海外
関連記事
ポルトガル周遊の記 11 - アートな世界のリスボン地下鉄
ここからはポルトガルの首都リスボンの公共交通について取り上げていこうと思う。まずは地下鉄をば。リスボン地下鉄は2016年現在、4つの路線を運行している。以前の記事でご紹介したポルトメトロは...
ポルトガル周遊の記 9 - リスボン首都圏の近郊列車に乗る
ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語) 前回の記事でご紹介したように、ロカ岬への行き方は2通り。ロカ岬へ向かう路線バスの都合上、シントラを経由するかカスカイスを...
ポルトガル周遊の記 8 - リスボン首都圏の近郊列車
せっかくポルトガルまで来たのだから、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語) ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ。ヨーロッパ大陸最西端っていうと果てしなく壮大なイメージだが...
ポルトガル周遊の記 7 - リスボン=オリエンテ駅
ポルトからコインブラと回って、いったんリスボンへ帰還。以前の記事でポルト=サン・ベント駅を取り上げたが、今回はリスボンを代表してリスボン=オリエンテ駅を紹介しよう。オリエンテ駅は比較的新しい駅で...
ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス
ポルトガルの中部の都市、コインブラをブラブラ・・・(ぉ ポルトガルの中部に位置する都市、コインブラ。丘の上にあるコインブラ大学を中心に発展し、ポルトガル中央部を代表する都市である。コインブラ大学...
おすすめの記事
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...