KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2016.11.08

シントラからヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ向かう。

X60504.jpg

SCOTTURB 713号車
2016.2.12/Cabo da Roca

▲シントラとカスカイスをロカ岬経由で結ぶ403番のバス。車両はどエライ目つきをしたベンツ製

シントラからロカ岬へは路線バスを利用する。以前の記事でも記したように、ロカ岬へ向かう路線バスがシントラ〜ロカ岬〜カスカイスというふうに走っているので、これに乗車。カスカイスとシントラを中心に路線を展開しているSCOTTURBという会社の路線バスで、路線番号は403番である。30分間隔で走っているのでそこそこ利用しやすい。ただし、早朝6、7時台と20時台のバスはロカ岬を経由しないので注意が必要である(もっともこんな時間にロカ岬を訪れる観光客などいないと思うが)。

このSCOTTURBというバス会社、路線によって車種を揃えて走らせているようで、ロカ岬を経由する403番はベンツ製のノンステップ車両であった。ボディはポルトガルのIrmãos MotaというメーカーがAtomicというブランドで展開しているもののようで、同メーカーの公式Webサイトからそれらしきものを探すとAtomic Urbanoという車両ということのようである。それにしてもどエライ目つきだこと・・・。

バスはところどころで幹線道路を外れて集落の中に入っていく。観光客にとってはロカ岬へ向かうための路線かもしれないが、地元の住民の足でもあるわけだ。そしてシントラ側からロカ岬にアクセスすると、途中のコラレス付近までシントラ市営軌道と並走する。シントラ市営軌道はシントラとPraia das Maçãs(マサス海岸)を結ぶ小さな路面電車で、現在は完全に観光用として走っている。運行日はかなり限られているようだが、運が良ければバスの中からこのシントラ市営軌道の電車が見られるかもしれない。何ならシントラ市営軌道に乗るということを観光に組み込むというのも楽しいかも。

X60496.jpg

SCOTTURB ロカ岬のバス停
2016.2.12/**

▲おそらくこちらもヨーロッパ大陸最西のバス停と思われるロカ岬バス停。バス停の標識は観光客を意識してシャレオツな感じ。アズレージョのタイル風に描かれているのがポルトガルならではのデザイン

シントラからロカ岬は概ね40分。ロカ岬も幹線道路から完全に外れたところにあって、そこまではやはり小さな集落を抜けていく。ロカ岬と言えばかつて北海道の某4人組がたどり着けずに終わったところだが、実際に来てみるとそれも何となく分かる気がするのは、縮尺の大きい地図だとたどり着くのがけっこうキツいと思う(笑)

◆ ◆ ◆

X60443.jpg

SCOTTURB 536号車
2016.2.12/Estação de Sintra

▲434番、ペーナ循環バス。この日のシントラの天気は最悪だったが、それでも観光客で満載であった
X60296.jpg

シントラの旧市街を行くバス
2016.2.12/**

▲路線バスはシントラの旧市街を行く

このほかシントラの文化遺産を巡るのに便利なのが434番の"Circuito da Pena"、ペーナ循環バスである。シントラ駅を起点に旧市街(シントラ宮殿)~ムーアの城跡~ペーナ宮殿(~旧市街~シントラ駅)と回ってくれる路線で、前述の403番とは異なりこちらは観光客向けに特化したもの。車両も特別なラッピングがしてあるMAN製Lion's Cityのショートボディ車両が使用されている。ペーナ宮殿はシントラの山の中にあって、ペーナ道路という狭隘な山岳道路を走っていくが、途中で切り返さないと曲がれない鋭角カーブがあったりしてなかなか楽しい。15分間隔で走っているのもGood。

シントラは世界遺産の観光名所ということもあって、乗車券類が充実している。このSCOTTURBで使える一日乗車券はもちろんのこと、SCOTTURBとポルトガル鉄道とが連携した乗車券も発売している。私が今回利用したのは「Train & Bus」というポルトガル鉄道のリスボン近郊線とSCOTTURBのバスが一日乗り放題になる乗車券(15ユーロ)。リスボンからシントラ&ロカ岬の日帰り旅行であれば、たぶんこれが最も便利な乗車券だと思う。私はリスボン=ロシオ駅の窓口で購入、購入の際はリスボン都市圏共通のIC乗車券「Viva Viagem」に乗車券の情報を入れてもらう格好となる。あとは電車に乗るのもバスに乗るのもICカードリーダにこの「Viva Viagem」をタッチするだけなので、いちいち乗車料金を支払わずに済むのもよい。

X60515.jpg

Viva Viagem
2016.2.12/**

▲リスボン都市圏共通のIC乗車券「Viva Viagem」

ところでこの「Viva Viagem」、紙のきっぷなのにICチップ内蔵で日本のSuicaみたいに使えて有能かと思ったら、2つ以上の情報を1度に記憶できないというちょっとお馬鹿な困ったちゃん。ロカ岬を回ってカスカイス経由でリスボンに戻ってきた後、地下鉄に乗るため「Viva Viagem」にいくらかチャージしようと思ったら、既に「Train & Bus」の情報が入っているということで弾かれてしまった。あえなく2枚目の「Viva Viagem」を購入する羽目に・・・。逆に、少しでもチャージ金額が残っていると今度は乗り放題系の情報が入れられないという仕様となっている。IC乗車券と言えども紙のきっぷだからすぐにヘロヘロになるし、便利なんだか便利じゃないんだかよくわからないあたりがヨーロッパクオリティといったところか。

関連記事

ポルトガル周遊の記 11 - アートな世界のリスボン地下鉄

ここからはポルトガルの首都リスボンの公共交通について取り上げていこうと思う。まずは地下鉄をば。リスボン地下鉄は2016年現在、4つの路線を運行している。以前の記事でご紹介したポルトメトロは...

ポルトガル周遊の記 11 - アートな世界のリスボン地下鉄
ポルトガル周遊の記 9 - リスボン首都圏の近郊列車に乗る

ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語) 前回の記事でご紹介したように、ロカ岬への行き方は2通り。ロカ岬へ向かう路線バスの都合上、シントラを経由するかカスカイスを...

ポルトガル周遊の記 9 - リスボン首都圏の近郊列車に乗る
ポルトガル周遊の記 8 - リスボン首都圏の近郊列車

せっかくポルトガルまで来たのだから、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語) ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ。ヨーロッパ大陸最西端っていうと果てしなく壮大なイメージだが...

ポルトガル周遊の記 8 - リスボン首都圏の近郊列車
ポルトガル周遊の記 7 - リスボン=オリエンテ駅

ポルトからコインブラと回って、いったんリスボンへ帰還。以前の記事でポルト=サン・ベント駅を取り上げたが、今回はリスボンを代表してリスボン=オリエンテ駅を紹介しよう。オリエンテ駅は比較的新しい駅で...

ポルトガル周遊の記 7 - リスボン=オリエンテ駅
ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス

ポルトガルの中部の都市、コインブラをブラブラ・・・(ぉ ポルトガルの中部に位置する都市、コインブラ。丘の上にあるコインブラ大学を中心に発展し、ポルトガル中央部を代表する都市である。コインブラ大学...

ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス

最新記事

北総7500形 『鉄道むすめ』コラボヘッドマークを掲出

2人の「まきの」がコラボレーション。北総鉄道では、11月中旬から12月上旬にかけて、7500形7503編成において『鉄道むすめ』ヘッドマークの掲出を実施した。伊豆箱根鉄道とのコラボレーション企画...

北総7500形 『鉄道むすめ』コラボヘッドマークを掲出
東洋バス路線図 2024年12月1日版

当Webサイトでは2024年5月に「東洋バス路線図2024年5月1日版」を公開していたところであるが、本稿において約7ヶ月ぶりとなる改訂版を発行する。東洋バスでは12月1日に路線の改廃を含む...

東洋バス路線図 2024年12月1日版
北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施

「ウマ娘」たちが北総線西白井駅を駆ける。北総鉄道では、10月中旬より西白井駅において『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の特別装飾を実施している。『ウマ娘』とは、株式会社Cygames...

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施
「都営フェスタ2024 in浅草線」開催

5年ぶりの祭典。11月30日、東京都交通局馬込車両検修場で車両基地公開イベント「都営フェスタ2024 in浅草線」が開催された。三田線の志村車両検修場と交互で概ね2年に1度に開催されるイベント...

「都営フェスタ2024 in浅草線」開催
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定

京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...

京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定