2018.02.10
タイ国鉄の列車に乗って1dayトリップ。2015年2月にタイを訪れた時はメークローン線の線路市場を見に行ったけど、今回はさらに足を延ばして泰緬鉄道を訪ねてみた。
泰緬鉄道とは、字のごとくタイとミャンマーを結んでいた鉄道である。第二次世界大戦中に旧日本軍によって建設されたものだが、多数の捕虜を動員しての人海戦術による突貫工事は苛酷さを極め、その犠牲者は数万人にも及んだとされる。泰緬鉄道の凄惨な工事の模様は『戦場にかける橋』として映画の題材にもなり、そのヒットにより広く知られることとなるが、これにより泰緬鉄道は観光地化が進み、現在は多くの人々がその痕跡を訪ねにやってきている。
戦後、泰緬鉄道は国境越えの部分が廃止され、タイ側ではナムトックというところまでの運行になった。現在の泰緬鉄道は、タイ国鉄南本線系統のナムトック支線として列車が走っている。列車の運行は1日3往復、うち2往復がバンコクからの直通列車である。参考までに列車の時刻を以下に記しておこう(※2016年10月現在。バンコクはトンブリー発着、ただしH印はフアランポーン発着)。
下り(ナムトック方面)
列車番号 | バンコク | カンチャナブリー | ナムトック | 備考 |
---|---|---|---|---|
485 | --- | 5:52 | 8:20 | ノーンプラドゥック4:35発 |
909 | 6:30H | 9:29 | 11:30 | 観光列車。土日のみ運行 |
257 | 7:50 | 10:25 | 12:35 | カンチャナブリーから915レを併結 |
915 | --- | 10:25 | 12:35 | 観光列車。257レに併結 |
259 | 13:55 | 16:26 | 18:30 |
上り(バンコク方面)
列車番号 | ナムトック | カンチャナブリー | バンコク | 備考 |
---|---|---|---|---|
260 | 5:20 | 7:12 | 10:25 | |
258 | 12:55 | 14:48 | 17:40 | |
910 | 14:25 | 16:53 | 19:25H | 観光列車。土日のみ運行。カンチャナブリー15:53着 |
486 | 15:30 | 17:41 | --- | ノーンプラドゥック18:50着 |
時刻表にて記した通り、週末に限りバンコク〜ナムトック間で観光列車が1往復運転されているとのことだが、それじゃあつまらん、やっぱり乗るならローカルの列車だよねということで、ほぼ自動的にバンコク7時50分発の257レで出発ということに相成った。この列車を終点のナムトックまで乗り通し、折返しナムトック12:55分発の258レでカンチャナブリーのクウェー川鉄橋まで戻ってくるという行程である。なお、南本線系統のローカル列車はフアランポーン駅ではなく、チャオプラヤ川の西側にあるトンブリー駅発着なので、本日の旅はトンブリー駅がスタートとなる。
というわけで、前置きが長くなってしまったが、早朝のバンコク=トンブリー駅である。せっかくホテルがフワランポーン駅の近くだったのも虚しく、タクシーを走らせて到着。トンブリー駅は地図で見る限りそんなに大きな駅ではなさそうだし、ローカルの列車が主役の寂れた駅を想像していたのだが、これが思っていた以上に賑やかな駅であった。
駅は2面2線と多少の留置線のある程度のこじんまりとした大きさ。留置線には客車が転がっている。トンブリー駅を発着する列車の本数は全部で16本と多くないが、7時台はちょうど列車の発着が輻輳する時間帯ということもあって、駅の構内はそれなりに人があふれていた。駅前には大きめの市場もあって、そちらも活況の様子。活気があるローカルの風景というのは見ていて楽しい。中央駅たるフワランポーン駅のような華やかさはないが、ローカル列車のターミナルとしてしっかりと機能しているようである。
7時50分発のナムトック行257レは留置線に停まっている客車を使うようだ。牽引機となる4000形ディーゼル機関車にていったん客車を線路の終端側に引上げ、機関車を進行方向に付け替えた後、客車がホームに据え付けられる。ホームで待っていた人々がいっせいに乗り込むとともに、私も257レの乗客のひとりになった。気温は既に30度を超えているが、これから7時間ほど世話になる客車は非冷房である。
- 1)バンコク=トンブリー駅はその所在からバンコク・ノイ駅とも呼ばれている。後者の方が通りがよいような感じ。
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