2018.03.23
泰緬鉄道を訪ねてみようってことでバンコクからの1dayトリップ。バンコクのトンブリー駅から客車に揺られて3時間弱、泰緬鉄道観光の要所カンチャナブリーに着いた。ここからさらに4時間ほど列車に乗り、ナムトック支線の終点ナムトックまで往復する。
前回の記事でも記したように、カンチャナブリーからの区間が泰緬鉄道の本丸である。クウェー川鉄橋やチョンカイの切通し、アルヒル桟道橋などの見どころが続いてることから、ここから大量の観光客が乗車。車内は軽く通勤ラッシュかよという様相を呈するようになった。国鉄のローカル列車というより観光地のアトラクションである。さらに、257レはカンチャナブリーでナムトック方に915レを名乗る5両の観光列車を併結。機関車+客車11両という大所帯で支線の末端部へ入っていく。
泰緬鉄道の見どころは後回しにするとして、とりあえずナムトックまで乗り通し。ナムトックには定刻より25分遅れ、13時に着いた。ナムトックからの戻りの列車の時刻を確認すると12時55分発・・・、って間に合わねーじゃねーかああぁ!! と思ったら、ナムトック12時55分発のバンコク行は、私がバンコクから乗ってきた列車がそのまま折返すという運用になっているようだった。泰緬鉄道を1日で見て回るためには、ナムトック12時55分発の列車に乗ってカンチャナブリー方面に戻ることが必須となるが、バンコク7時50分発の列車がどれだけ遅れようともナムトック12時55分発の列車に乗れる仕組みになっているので安心である。
そんなわけなので、ナムトック12時55分発のバンコク行は既に5分ほど遅れている。少しでも遅れを取り戻そうと、列車は機関車を前方に付け替えてすぐにでも発車しようといわんばかりの雰囲気。んなもんで、わざわざナムトックまで来てやったことといえば、復路のきっぷを買ったということだけ。大急ぎできっぷを買って、列車に乗り込んで、わちゃわちゃしている間に列車は出発と相成った。前述のようにこの列車に乗り遅れるわけにはいかないので、写真は1枚も撮れずに終了。というわけでナムトックの写真はない(泣)
ちなみに、運賃はバンコク→ナムトックもナムトック→カンチャナブリーも100バーツとなっている。なんともガバガバな設定のように思えるが、泰緬鉄道のカンチャナブリーを含む区間を乗る場合、外国人旅行者は乗車区間にかかわらず自動的に100バーツということになっているようだ。いわゆる外国人料金というやつである。正規の運賃だとバンコク→ナムトックが39バーツ、ナムトック→カンチャナブリーが17バーツとなるが、現在タイ国民は政府の政策により3等運賃が無料になっているので、この列車については誰も正規の運賃で乗っていないという不思議な状況になる。
◆ ◆ ◆
さて、泰緬鉄道の見どころは往路で予習したので復路は撮影をメインにしながら乗ってみることにした。どこからどのようにして撮ろうかなと列車内を見回しているうちに、私はあることに気づいてしまったのである。よく見ると乗車口のドアが走行中でも開けっ放しやないかーい。
写真を撮りたいのはみな同じ。アルヒル桟道橋やチョンカイの切通しの見どころなどは、車内からの顔出しやカメラの砲列を浴びるはず。それならば、乗車口のデッキから身を乗り出して写真を撮れば勝つる! ってことで、復路はデッキに陣取って風を浴びながら行くことにした。途中、車掌がやってきて通りすがりに私に何か話しかけてきた。さすがに危ないしNGが出るかな? と思って移動しかけると、そのままでいいから、と言う。列車から落ちなければいいってことらしい。いいのかよ。
チョンカイの切通し
クウェー川鉄橋のほど近くにあるチョンカイの切通し。いちおう泰緬鉄道の三大見どころ(?)のひとつとされていてガイドブックにも載っている遺構だが、地味(っていうと怒られてしまうかもだが)なので言われないと気がつかないまま通りすぎてしまうかも(実際に私も往路ではよくわからなかった)。
硬い岩盤を突貫工事で掘削したものということのよう。列車はそのスレスレを通過するが、線路に面した側の岩肌の凸凹は突貫工事の生々しさを今に伝えている。列車だと一瞬で通りすぎてしまうが、その一瞬は大変な工事に従事した労働者のおかげによるものと認識を新たにするのである。
アルヒル桟道橋(タムクラセー橋)
泰緬鉄道の工事の難しさの象徴にもなっているのが、全長300mの木造橋であるアルヒル桟道橋である。川と崖に挟まれた箇所に線路を通すため、このような線形になったという。木で組まれた橋脚は重たい鉄道車両が走るのにはあまりに頼りなさげ。しかし、レールが敷いてある以上、列車はこの上を進んでいく。
列車はこの区間を最徐行で進んでいくが、それははたして観光客のためにわざとスピードを落としているのか、それとも木造の橋を渡るための必然なのか、よくわからない。このあたりはちょっとしたリゾート地にもなっているようで、沿線から列車が木造橋を通過していく様子を見ている人たちも多く、互いに写真を撮りあっている謎の状態に。泰緬鉄道の見どころのひとつだけあって、周辺は遊歩道などがそれっぽく整備されている。ぶっちゃけナムトックまで行ってもただ慌ただしく折返すだけだったので、橋近傍のタムクラセー駅で降りて、木造の橋を間近で見学してみてもよかったのかなと思う。
関連記事
タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 4 - 『戦場にかける橋』クウェー川鉄橋
タイ国鉄ナムトック支線をナムトックまで乗り通し、カンチャナブリーまで戻ってきた。カンチャナブリーの1つ手前、クウェー川鉄橋駅で列車を降りる。泰緬鉄道のハイライトとも言えるのが、タイ国鉄...
タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 2 - ナムトック行鈍行257レ
さて、泰緬鉄道を訪ねてみようってことでバンコクからの1dayトリップ。バンコク=トンブリー駅からナムトック行の鈍行列車257レに乗る。列車は機関車+客車6両という構成。最後尾の1両が業務用を...
タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 1 - 早朝のバンコク=トンブリー駅
タイ国鉄の列車に乗って1dayトリップ。2015年2月にタイを訪れた時はメークローン線の線路市場を見に行ったけど、今回はさらに足を延ばして泰緬鉄道を訪ねてみた。泰緬鉄道とは、字のごとくタイと...
タイ バンコク交通見聞 2016年秋 6 - 14系・24系改造の豪華車両
バンコクのフアランポーン駅。14系・24系客車が留置されているホームにてさらに歩を進めると、なにやら凄い雰囲気の客車がいるではないかっ。14系・24系を改造した豪華車両である。JR西日本より...
タイ バンコク交通見聞 2016年秋 5 - タイ国鉄の14系・24系
ところ変わってフアランポーン駅である。今回はホテルがフアランポーン駅の近くだったもんで、これ幸いにと駅の様子をちょくちょくと見に行くことができた。前回の記事にてバンスー新ターミナルをご紹介したが...
最新記事
北総7500形 『鉄道むすめ』コラボヘッドマークを掲出
2人の「まきの」がコラボレーション。北総鉄道では、11月中旬から12月上旬にかけて、7500形7503編成において『鉄道むすめ』ヘッドマークの掲出を実施した。伊豆箱根鉄道とのコラボレーション企画...
東洋バス路線図 2024年12月1日版
当Webサイトでは2024年5月に「東洋バス路線図2024年5月1日版」を公開していたところであるが、本稿において約7ヶ月ぶりとなる改訂版を発行する。東洋バスでは12月1日に路線の改廃を含む...
北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施
「ウマ娘」たちが北総線西白井駅を駆ける。北総鉄道では、10月中旬より西白井駅において『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の特別装飾を実施している。『ウマ娘』とは、株式会社Cygames...
「都営フェスタ2024 in浅草線」開催
5年ぶりの祭典。11月30日、東京都交通局馬込車両検修場で車両基地公開イベント「都営フェスタ2024 in浅草線」が開催された。三田線の志村車両検修場と交互で概ね2年に1度に開催されるイベント...
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定
京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...