2016.11.13
京成電鉄では、11月19日にダイヤ修正を行なう。今回のダイヤ修正について、京成電鉄と直通各社のプレスリリース、および11月15日発売の京成時刻表Vol.27-3(11月19日ダイヤ号)などを参照しながら、今回のダイヤ修正における変更点を考察してみよう。
本稿では、2015年12月5日におけるダイヤを「現行ダイヤ」、2016年11月19日におけるダイヤを「新ダイヤ」などと記すことにする。
1.特急「スカイライナー」の増発
成田スカイアクセス線経由で運転される特急「スカイライナー」だが、8時台に下り列車が1本増発される。スカイライナーはこれまでのダイヤ改正でも回送列車の営業列車化やイブニングライナーからの種別変更でたびたび増発が行なわれてきたが、今回の増発により運転本数は1日57本(上り29本、下り28本)となる。スカイライナーの利用者は先日にも2000万人を突破したばかりであり、下記のアクセス特急増発と合わせて成田スカイアクセス線が好調であることがうかがえる。
運用としては、スカイライナー1号で成田空港6時42分に到着の後、現行ダイヤでは宗吾車両基地に入庫していた運用をもう1往復運転させるようにしたものとなるようだ。したがって、スカイライナーの増発としては下り1本だが、実際には上野~成田空港間の1往復分が増発で、スカイライナー1号の折返しで成田空港→上野を走る回送列車が設定される(この回送列車が上野で折返しスカイライナー新15号になる)。この回送列車の走る6時台後半~7時台の京成本線は既に朝の通勤ラッシュが始まっており、本線にこのスジを入れるのは困難なことから、この回送列車は成田スカイアクセス線経由になると思われ、2年ぶりに成田スカイアクセス線を走るAE形の回送列車が復活するものとみられる。
2.アクセス特急の増発
平日・土休日ともに早朝5時台の下り列車1本と19時台の上り列車1本、合わせて1往復分の増発を実施する。アクセス特急は前回2015年12月ダイヤ修正でも上り列車が1本増発されており、2年続けて列車本数が増えることになった。早朝下りの増発分はこれまで繁盛期に臨時列車として運転されてきたもので、これがいよいよ定期列車として毎日運転されることになった。これによって成田スカイアクセス線の下り始発列車は40分強繰り上げることとなり、早朝における成田空港アクセスが強化される。2014年11月ダイヤ改正では京成本線における早朝LCC対応が盛り込まれていたが、今回はこれが成田スカイアクセス線にも及んだ格好だ。
一方、上りアクセス特急の増発は臨時列車を運転していた23時台ではなく、19時台に実施されることになった。18~20時台の上りのアクセス特急は今のところ約60分間隔の運転となっているが、19時台に1本を増発することでこの時間帯も日中時間帯と同じ40分間隔の運転になる。早朝下りの臨時列車が定期列車となったことで深夜上りの臨時列車ともども臨時アクセス特急は発展解消となる可能性が高いが、深夜上りの臨時列車の定期列車化が見送られたのは、2015年12月ダイヤ修正で上り最終アクセス特急の時刻繰り下げが行なわれた経緯があることや、運転本数の少ない19時台の増発の方がより優先順位が高かったためと思われる。
臨時アクセス特急の運転期間の前後に高砂〜宗吾参道間で運用調整のための臨時回送列車が運転されていたことから分かるように、臨時アクセス特急を定期運転化した早朝のアクセス特急は高砂出庫となることから、3050形1本の夜間停泊を宗吾車両基地から高砂検車区に移して対応する。
3.千葉・千原線の輸送力増強(4両編成の6両化)
今回のダイヤ修正では4両編成の運用が3本減、6両編成の運用が2本増となっており、2014年11月ダイヤ改正に引き続き4両編成が減らされることとなった。現行ダイヤにおいて平日の朝ラッシュ時間帯に京成本線ならびに千葉・千原線で運用される4両編成は6本あるが、そのうちの3本が6両編成となる。6両編成の運用は2本しか増えないのに、4両から6両になる運用が3本になるのは不思議に思われるかもしれないが、このうち高砂出庫となる1本は上野線普通列車1往復分を6両編成から8両編成にして6両編成を捻出した分を充てる格好となっている。
ダイヤ修正のプレスリリースによれば、千葉線では平日、土休日ダイヤとも4両編成で運転している30本の列車が6両編成となり、千葉・千原線で9割以上の列車が6両編成での運転となるようだ。特に土休日ダイヤにおいては日中時間帯も走っていた4両編成のB53運行も消滅しており、千葉・千原線で4両編成が走るのは朝と夕方~夜にわずかだけ、4両編成全体としてみても終日にわたって走る運用は金町線の2本のみと、4両編成は必要最低限と言えるところまで削減されている。
4両編成においては特に高砂で停泊する運用が2本のみとなり、このうち1本は高砂駅5番線(金町線ホーム)での停泊となることから、運用がかなり固定化される。すなわち、ある日に京成津田沼出庫→高砂入庫となった編成は、その時点で必ずその翌日と翌々日の金町線の運用にも入ることを意味している。4両編成は運用が減って列車も減るけれど、その分だけ特定の編成を追いかけやすくなりそうで、それはそれで朗報と言えるかもしれない。
4.京成本線における平日下り夜間の輸送力見直し
京成電鉄のダイヤ修正に関するプレスリリースでは触れられていないが、平日ダイヤにおいて夜間下りの輸送力見直しが行なわれる。具体的には、20時台以降の都営浅草線からの快速特急を特急に格下げし、佐倉~成田間において営業列車の削減を行なう。要するに、2006年12月ダイヤ改正で実施した特急の佐倉~成田間各駅停車化+快速の佐倉折返し化と同じようなことが夜間時間帯にも行なわれるということ。これにより、20時以降にも佐倉行が登場しているほか、成田まで走って折返し宗吾車両基地に回送入庫となるものが宗吾参道までの列車に短縮されている。
珍列車として京急車の北総特急1863Hを取り上げたときにも触れたように、2006年12月ダイヤ改正で京成に快特が新設されて以降、それ以前より都営浅草線から京成線に直通していた特急列車は全て快特(快速特急)あるいは通勤特急となっていたので、今回のダイヤ修正で約10年ぶりに都営浅草線から京成本線方面に走る特急が復活することとなった。今回復活する都営浅草線から京成本線方面の特急は都営浅草線をエアポート快特として走る列車も含んでおり、押上におけるエアポート快特→特急の種別変更のパターンも同じく10年ぶりの復活となる。
5.京成本線そのほか
昨年のダイヤ修正で5年ぶりに復活し、注目の的になっている京急車の京成本線乗入れ運用81Hは、宗吾車両基地への一時入庫の時間が少し変わるものの、めでたく残存。京急電鉄によれば来年2月にも新1000形マイナーチェンジ車の8両編成版(1200番台となるだろうか?)が登場する予定となっているが、これも京成本線で見られることとなろう。また、今回のダイヤ修正では都営車が大躍進をしており、特筆すべきは都営車の成田空港乗入れが約10年ぶりに復活する(平日1811T)。都営車は京成本線を走る日中運用も復活しており、現行ダイヤで走らなさすぎる分だけ挽回といったところ。
京成本線を走る快速が1往復分削減されている模様(現行ダイヤで言うと下りは19A09、上りは2016Tのスジに相当)。このほか、上野を22時ちょうどに発車するイブニングライナー71号がさりげなく成田空港までの運転に延長(現行ダイヤでは成田行)されており、夜間の成田空港アクセスがわずかながら増強される。
土休日ダイヤに設定されているシティライナー用の不定期列車は引き続き残存している模様。時刻も概ね現行ダイヤ通りとみられ、例によってカラ退避している列車が新しい京成時刻表上でもいくつか確認することができる。AE100形がいなくなってしまった今、正月に運転されるはずの臨時シティライナーは果たしてどの車両で運転されるのか・・・と言ってもAE形しかおらんのですが。
6.北総線関連
北総線ではダイヤ修正を行なう。大きな変更点は見られないものの、列車間隔の調整、京成線上野方面との接続改善など、細かい修正を行なっている。北総線列車においては特に北総車と都営車とで運用持ち替えが多数生じており、この結果夜間に設定されている下り北総特急を担当する北総車が2本登場する。昨年のダイヤ改正で登場した下り北総特急は蓋を開けてみればほとんどが都営車の運用となっていたが、今回のダイヤ修正で北総車2、都営車1、京急車1の体制となり、列車の本数は少ないもののバラエティに富んだ布陣に変わる。
7.新京成線関連
今回はダイヤ改正、ダイヤ修正とも実施しない。
◆ ◆ ◆
以上、11月19日のダイヤ修正をざっくりと概観した。今回はダイヤ修正は、増強するべきところは増強し、見直すところはしっかりと見直したといった印象の内容である。そしてやはり珍列車と呼べるような列車も多数現れているので、それは別途紹介していくことにしよう。
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