2021.12.31
2021年がまもなく終わろうとしている。というわけで、「2021年四直界隈10大ニュース」と題して2021年に都営浅草線を筆頭とした京成線、京急線、北総線のいわゆる四直界隈で起こったできごとを、当Webサイトで扱いきれなかったものも含めてまとめてみた。なお、10大ニュースの選定については筆者の趣味や嗜好、独断、偏見に満ち溢れているが、異論はいっさい受け付けませんっ(ぉ
京急1000形1890番台が登場(3月)
2021年、最初にして最大のできごとであったのは京急1000形1890番台の登場で間違いなかろう。その最大の特徴は、L/C座席の採用やトイレが設置されていること。2002年より仕様を変えながら導入が続けられてきた1000形に、これまたとんでもない仕様の車両が加わった。形式こそ1000形と名乗っているものの、実質的には新型車両である。
実車は3月に総合車両製作所を出場。試運転や報道公開を経て、5月6日に営業運転を開始した。1890番台の登場によりモーニングウィング3号がウィング号では初となる12両運転となり、主に土休日に運転される貸切列車も1890番台がそのほとんどを担当するようになった。
11月には2021年度導入分の2次車(1000形全体としては21次車)にあたる1893編成が登場し、土休日においても定期運用への充当が始まるなど活躍の場を広げている。先ごろには車両の愛称が「Le Ciel」(ル・シエル)となることに決定。京急における新たなフラッグシップ車両の地位を確立しつつある。
終電繰り上げ(3月)
今年もやはり新型コロナウイルス感染症に大きな影響を受けた1年だった。特に、昨年10月から今年2月にかけての感染拡大第3波では政府による2回目の緊急事態宣言が発令され、深夜時間帯の流動が減るなど人々の生活様式は変化した。これを受けて、鉄道各社では一斉に終電の繰り上げを実施。都営浅草線をはじめとした四直各社局でも同様に終電繰り上げが行われることになり、3月27日のダイヤ改正(都営・京急)・ダイヤ変更(京成・北総)で実行に移された。
新型コロナウイルス感染症を克服したらダイヤは元に戻るか・・・はビミョーなところ。各社とも終電繰り下げの理由に夜間における保守作業の時間確保を挙げており、従業員の働き方改革の一環という意味合いもあるためだ。
京急1000形 シーメンス製GTO-VVVF車「ドレミファインバーター」終了(7月)
7月下旬、京急でドイツ・シーメンス製のGTO-VVVFインバーターを搭載した最後の編成だった1000形1033編成が更新工事のため入場した。これにより、2100形より採用されたシーメンス製GTO-VVVFインバーターを搭載した車両が消滅した。
このVVVFインバーターを搭載した車両は、起動時において音階調の楽しげな音を奏でることから「歌う電車」「ドレミファインバーター」などと通称され、愛された。京急の個性のひとつであったと思う。しかし、海外メーカーの製品ということで保守性に難あり、国産製のVVVFインバーターへの交換で「歌う電車」は数を減らしていた。
シーメンス製GTO-VVVFインバーターが終了するにあたっては、「さよならドレミファインバータ♪」と題したイベントを実施。記念乗車券が発売されたほか、18日には特別貸切イベント列車「ありがとうドレミファインバータ♪」が品川→京急久里浜で運転されている。世の中にはさまざまな形のさよなら企画があるけれど、搭載されたVVVFインバーターやその走行音に対するものは前代未聞と思われる。それほど、「ドレミファインバーター」の存在は大きかった。
都営5500形、全27編成の投入完了(9月)
2017年度より導入されてきた都営5500形だが、9月末にラストナンバーとなる5527編成が営業運転を開始し、予定されていた全27編成の投入が完了した。驚くべきはその導入スピードの早さ。5501編成のデビューが2018年7月のことなので、それからわずか3年で27編成が出揃ってしまった。5500形の導入により5300形が順次置き換えとなったわけだが、どんどん出てくる新しい5500形に対し、5300形のどの編成が運用離脱するかやきもきした人も多いはずだ。
ただし、5300形は置き換え完了とならず、5320編成だけが廃車を免れて現在も運用に入っている。5500形のデジタルSR無線対応工事に伴う予備車確保のためとみられるが、いずれにせよ先はそう長くないはず。今のうちに乗ったり撮ったりしておきたい。
京急油壺マリンパークが閉館(9月)
9月30日、京急グループが運営する神奈川県三浦市のレジャー施設「京急油壺マリンパーク」が閉館した。同施設は京急創立70周年の記念事業として1968年に開業。以来、半世紀以上にわたり市民に親しまれてきたが、入館者数の減少や施設の老朽化などを理由に53年の歴史に幕を閉じることになった。
マリンパークといえば、定期列車にイルカのヘッドマークを掲出した「マリンパーク号」のほか、遠くは京成線の京成成田から運転された臨時列車「城ヶ島・マリンパーク号」の存在が思い出される。マリンパークの名は京急の郊外側を象徴するものとして使用され、四直各線にも縁の深い施設であった。
京急久里浜線、平日日中時間帯の減便を実施(10月)
京急では10月18日に平日ダイヤのダイヤ修正を行った。このダイヤ修正では日中時間帯における久里浜線の減便を実施。泉岳寺発着の快特を京急久里浜折返しとすることで、京急久里浜〜三崎口間を毎時3本の運転とした。平日において三崎口から品川方面行の列車が毎時6本運転されるようになったのは1998年11月ダイヤ改正からなので、それ以前の状態に逆戻りしてしまった。
減便を行う理由は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う利用状況の変化と乗務員の罹患防止対策のためとのことだが、3月ダイヤ改正でも品川〜京急蒲田間の普通列車"蒲田ローカル"が廃止されており、減便が続く格好になった。先ごろにも来年3月にダイヤ改正を実施するJR・私鉄各社よりその内容が発表されたが、中身はやはり減便を中心とした惨憺たるもの。京急ならびに直通各社局においても、さらなる減便が行われるかどうか心配されるところである。
北総7800形7818編成、京成に返却・6両編成化(10月)
昨年6月に発生した青砥駅構内脱線事故の当該となり、長期にわたる運用離脱を余儀なくされていた北総7800形7818編成がついに動いた。同編成は京成に返却されることとなり、6両編成化した上で12月上旬より京成3700形3748編成として復帰した。一方で、6両編成化の際に抜かれた中間車の2両は、脱線により大きく損傷した車両を含んでいることもあって復帰かなわず。残念ながら3700形で初めての廃車となっている。
3748編成は7260形の代替として2015年3月に北総にリース、7818編成となった編成だが、まさかこのような形で戻ってくるとは誰も思わなかったことだろう。京成にとってもこの一連の動きは想定外だったはずで、今後の車両計画にどういった影響が生じてくるのか気になるところ。
新京成8000形が引退(11月)
今年も多くの名車たちが去っていた。四直界隈では新京成8000形で最後の1編成となっていた8512編成が11月1日の運用をもって引退。これにより8000形は形式消滅、「くぬぎ山のタヌキ」は終焉を迎えた。
8000形のお別れに際してはくぬぎ山車両基地においてささやかな有料撮影会が開催されるだけにとどまり、不特定多数が集まるのを避けるという時世を反映した格好となっている。一般的に、車両のさよならイベントと言えば、ヘッドマークの掲出やさよなら運転などといった大々的なイベントが想像されるが、8000形のようなやり方がコロナ時代のスタンダードになるのかもしれない。
京急1500形の廃車始まる(11月)
来る者あれば去る者ありというのは世の常である。1000形1890番台1893編成の導入に伴い1500形1509編成が廃車になった。事故廃車以外で1500形に廃車が発生するのは初めてのことで、いよいよ車両淘汰の波が1500形にも及ぶことになった。
2000形や800形なき今、京急車両群における最古参は1500形。したがって廃車はいたって順当と言える。とはいえ、私としてはまだまだ新しいと思っていた車両の置き換えが始まるショックは大きい。時の流れは残酷である。
京成3700形3768編成が北総にリース、北総7838編成に(12月)
京成3700形3768編成が北総にリースされ、12月下旬より北総7800形7838編成として走っている。この7838編成は返却された7818編成の代替であることは明らかで、7800形にまさかの4本目が登場することになった。
7838編成の仕様については、2018年2月にリースされた7828編成に準じている模様で、これといって新しい要素はない。前面の車両番号も7828編成と同様にプレート式である。同編成は12月18日に宗吾車両基地から印旛車両基地に回送され、翌19日の726Nレ普通羽田空港行より営業運転を開始している。
◆ ◆ ◆
今年も昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症に振り回された1年だった。夏には昨年より延期されていた東京オリンピック・パラリンピック2020大会が開催されたが、感染拡大防止のため試合のほとんどは無観客で開催され、鉄道事業者の多くはその恩恵にあずかれなかったのはたいへん残念なことである。ただし、日本に限って言えば目下感染者数は落ち着いた状態にあり、昨年の今ごろほどお先真っ暗というわけではないのは救いであろう。
2022年もいい年になりますよう。
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