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エトセトラ

2024.06.30

約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。

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北総7300形 7318編成
2024.4.5/青物横丁

▲青物横丁に停車する北総7300形の特急羽田空港行。2022年11月ダイヤ大改正でそれまで快特だった列車を特急に変更したものである

京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」と銘打ったこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行パターンを再編。羽田空港を発着する横浜方面の急行(旧・エアポート急行)が毎時3本に減便されたり、都営浅草線直通の快特(SH快特)が特急となって普通列車との緩急接続を重視するようになったりしたのは、当Webサイトでも過去にレポート記事としてご紹介したとおりである。

同改正では、羽田空港を発着する日中時間帯の北総線直通系統列車にも大きな変化が生じている。従来は快特としていたものを特急に変更した。北総線系統列車は1998年11月から京急線内を特急として運転していたが、2003年7月に急行に変更していた過去がある(さらに2010年5月よりエアポート急行に、2012年10月より快特に変更)。北総線系統列車の京急線内特急運転はこれ以来、実に19年ぶりの復活となる。既にダイヤ改正から1年以上が経過しているが、京急線内を特急として走る北総の面々は、すっかりと京急線内における日常となっている。

しかし、この変更は羽田空港アクセスに力を入れる京急にとってマイナスでしかなかったはずである。この運行系統が快特だった時代には、京成線発着の快特・エアポート快特と合わせて都心方面〜品川〜羽田空港発着の列車が10分毎となることから、これらを「どんどん来る来る」のキャッチフレーズでの宣伝も見られた。品川断面で羽田空港発着の列車が毎時6本であることに変化はないものの、半数が特急となって所要時間が増えることの利便性低下は気になるところ。

それでは、なぜ日中時間帯の北総線系統は特急に変更されたのか。それは、横浜方面の急行(旧・エアポート急行)が前述のとおり毎時6本から毎時3本に減便されたことが大きく影響している。同改正以前の日中時間帯の空港線は、横浜方面の急行と品川方面の快特・エアポート快特の2本立てであった。すなわち、この時間帯の空港線で各駅に停まる列車は横浜方面の急行だけだったのである。その急行が半減してしまう・・・そこで、品川方面への快特の半数を特急に格下げし、空港線内を各駅に停車する列車の本数を維持したわけである。

結果的に、特に青物横丁と平和島ではこの北総線系統の特急に加えて京急久里浜・三崎口発着の特急(H特急)も停車するようになったので、日中時間帯における乗車機会が毎時6本も増えるという大勝利を収めている。平和島での緩急接続もバッチリだ。立会川は・・・残念でした

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京成3000形 3033編成
2023.5.31/立会川

▲特急印旛日本医大行として走る京成3000形。以前の北総線直通特急にはなかった京成車の特急印旛日本医大行が見られるようになった

さて、北総線系統の京急線内特急運転の今と20年前の違いについて。車両のラインナップなど違いはいろいろあるが、特に京成車が参戦していることが挙げられる。今でこそ北総線内を当たり前のように走っている京成車だが、20年前にはその運用は極端に少なく、1998年〜2000年では平日朝の1往復のみ、2000年〜2010年では北総線への定期運用なしという状況だった。今回、北総線を走る京成車が多数存在する中で京急線内特急運転となったことで、京成車の特急印旛日本医大行が初めて登場した。

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