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2022.12.31

2022年がまもなく終わろうとしている。というわけで、「2022年 四直界隈10大ニュース」と題してこの1年に都営浅草線を筆頭とした京成線、京急線、北総線のいわゆる四直界隈で起こったできごとを、当Webサイトで扱いきれなかったものも含めてまとめてみた。なお、10大ニュースの選定については筆者の趣味や嗜好、独断、偏見に満ち溢れているが、異論はいっさい受け付けませんっ(ぉ

京成押上線〜金町線の直通運転を実施(1月)

古来より、四直で何かが起きるのは大晦日から元日にかけて実施される大晦日終夜運転ダイヤであると伝えられている。古くは三浦海岸〜京成成田直通の特急「招運号」や最近では京急2100形が都営浅草線で営業運転を行うなど、日常では見られない数々の列車が終夜運転という場で運転されてきた。

そんな中、京成は2021年大晦日から2022年元日にかけての終夜運転で押上〜京成金町の運行系統を設定。金町線から他線への直通運転は成田スカイアクセス線開業に伴う京成金町駅の金町線専用ホームの新設により2010年7月限りで臨時列車を除いて行われていなかったので、実に約11年半ぶりの復活となった。当日は3500形3508編成と3540編成が充当。特に、3540編成は2013年4月に芝山鉄道の所属となってから押上線で営業運転を行うのは初めてとなる。やはり、何かは終夜運転で起きる。

なお、2022年大晦日から2023年元日にかけての終夜運転においても同様に押上〜京成金町の運行系統が設定されており、今年と同様に押上線で営業運転を行う4両編成が見られる予定となっている。

北総7300形が京急線逗子・葉山まで営業運転(2月)

2月21日、北総7300形7308編成が京急逗子線逗子・葉山まで営業運転を行った。ことの発端は、同日6時50分ごろ立会川駅で発生した人身事故。この事故により京急線は品川〜京急蒲田で一時運転見合わせとなり、羽田空港側に取り残された7308編成が突発のような格好で逗子・葉山までエアポート急行として1往復だけ走った。

かつては定期運用で逗子線に直通していたことのある北総車だが、1999年7月ダイヤ修正での運行系統整理により北総車の新逗子行は廃止になっていた。北総車が逗子線に入線するのはそれ以来、実に22年半ぶりのことかと思われる。それにしても途中、神奈川新町、金沢文庫と車庫に取り込むタイミングはあったはずなのに、逗子・葉山まで行ってしまったのだからスゴい。緊急時に他社の車両を遠慮なく使っちゃう京急流の運転整理が存分に発揮された事例となった。

京成線2月26日ダイヤ改正(2月)

今年はダイヤ改正が2回も実施される異例な年であった。最初に実施されたのは2月26日ダイヤ改正。これはどちらかというと京成がメインとなるダイヤ改正で、新型コロナウイルスの感染拡大以降の利用状況を反映したものが実施されている。コロナ禍において京成はその時々の状況に合わせて細かいダイヤ変更を実施してきたが、このダイヤ改正で一区切りついた格好だ。

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京成3700形 3798編成
2019.2.19/実籾〜八千代台

▲日中時間帯から姿を消した京成本線特急。2月に実施されたダイヤ改正は遠距離の利用に不利な結果となった

内容的に大きいのは、やはり日中時間帯の京成本線特急が京成佐倉発着の快速に格下げされたこと。京成津田沼から先も通過運転を行うのは40分に1本の快速特急のみとなり、遠距離の利用にとっては不利な結果となった。夜間時間帯についても都営浅草線直通列車の種別を見直し、全体的に減便。一方、スカイライナーについては青砥停車が正式なものとなり、11月ダイヤ改正での新鎌ヶ谷停車と合わせて中長期の経営計画に即したスカイライナーの新しいあり方も実践され始めている。

芝山鉄道3500形、赤と緑の「芝鉄カラー」化(4月)
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芝山鉄道3500形 3540編成
2022.6.5/柴 又

▲全般検査を機に赤と緑の「芝鉄カラー」に変更された3540編成。唯一無二のスタイルを持つ3500形として注目を集めている

10月27日に開業20周年を迎えた芝山鉄道では、利用者や沿線に対して感謝の気持ちを込めて「芝山鉄道線開業20周年記念事業」を実施しているところである。そんな同社にとっての今年一番のニュースはやはりこれをおいてほかにないだろう。3540編成が4月の検査を機に帯色が変更され、赤と緑の「芝鉄カラー」となって出場した。以降、唯一無二の3500形として注目を集めながら走っている。

「芝鉄カラー」はもともと3600形3618編成のカラーリングだったが、2013年4月にリース車両が3500形に変更されると3540編成は京成カラーを維持。3618編成も同年12月に京成カラーに戻されたため、「芝鉄カラー」はその時点でいったん消滅していた。「芝鉄カラー」の約8年半ぶりの復活と合わせて、同線の開業20周年に改めて祝意を表したい。

北総線で運賃改定、大幅値下げを実施(10月)

10月1日、北総鉄道は北総線の運賃を改定した。同社の累積赤字が今年度にも解消される見通しとなったことによるもので、従来の運賃に対して全体として15.4%の値下げを実施。特に各家庭の実費負担となりがちな通学定期運賃は驚異の64.7%もの値下げ率で、区間によってはひと月あたり10000円以上も安くなる場合も。もとより住環境の良さで知られ、子育て世代も多い北総線沿線にとってはこれ以上ない大きな後押しだ。

北総鉄道としても長年の懸案事項であった高額運賃の値下げはさらなる沿線活性化の機として捉えており、2月と11月に実施されたダイヤ改正では北総線をより多く利用してもらえるよう新鎌ヶ谷〜印西牧の原・印旛日本医大の区間列車を増発した。他の事業者ではコロナによる減便やバリアフリー対応などで運賃値上げが相次ぐ中、ここだけは時代に逆行しているかのようである。今年は北総の会社創立50周年の年でもあり、たいへん素晴らしい節目になった。

京成線京成高砂駅構内における脱線事故(11月)

11月17日10時20分ごろ、京成本線京成高砂駅構内で脱線事故が発生した。当該となったのは3700形3788編成で、976K京成佐倉発快速京成高砂行として京成高砂に到着後、高砂検車区に入庫するため入換している時に事故は起きた。同編成は駅から検車区G線に向けて進路をとっていたが、その際に上野方先頭車にあたる3781号車が40号ロおよびハ分岐器においていわゆる泣き別れの状態となり、上野方台車の全2軸が脱線した。

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京成線 高砂検車区
2022.12.17/**

▲事故の現場となった京成高砂駅構内。3788編成は写真中央手前に見える40号ロハ分岐器(可動クロッシングの手前側がロ分岐器、奥側がハ分岐器)で泣き別れのような状態となり、脱線した

この事故により、京成本線は千住大橋〜市川真間で、北総線は京成高砂〜矢切で一時運転見合わせとなり、それぞれの区間で折返し運転を行った。18時ごろに脱線車両の撤去が完了、20時50分ごろに運転再開したものの、ダイヤは終日にわたり大混乱に陥った。

この事故ついて、京成は当日中にその原因を「構内運転士の取扱い誤りにより転轍機が損傷、脱線に至ったもの」と発表している。運転士が入庫する際に進入する番線を誤ったため、車両を無断退行させたとの報道もある。詳細は運輸安全委員会の調査が待たれるが、人為的ミスによる残念な事故である可能性が高い。

新京成8800形の廃車始まる(11月)

新京成電鉄では80000形の3次車となる80036編成を導入、11月2日より営業運転を行っているところである。これに伴い、8800形8801編成が同17日の運行をもって運用離脱、廃車となった。8800形に廃車が発生するのは初めてのことで、8000形亡き後最古参となっている8800形の置き換えが早くも始まってしまった格好だ。

8800形は直流1500Vの下では最初期のVVVFインバーター電車ということで知られている。一部の編成では走行機器類の更新や車体のリニューアルが実施され、8801編成なき後も15編成が在籍する新京成の最大勢力であることは変わらない。はたしていつまで走ってくれるだろうか。

京急線11月26日ダイヤ改正(11月)

四直各線では、今年2回目となるダイヤ改正を11月26日に実施した。今回のダイヤ改正の主役は京急。京急自らが「23年ぶりの大幅ダイヤ改正」と謳うように、特に日中時間帯の運行パターンを大きく変更した。

まず、都営浅草線に直通する快特を特急に格下げ。これにより、1999年7月ダイヤ改正以来の快特毎時6本体制が23年を経て崩壊することとなった。さらに、横浜方面のエアポート急行を20分間隔に減便し、合わせて羽田空港〜北総線系統の快特も特急とするなど、変更点は多岐に渡っている。

趣味的に見れば、23年ぶりに復活した日中時間帯のH特急やこちらも18年ぶりの復活となる北総線系統の特急など、何かとリバイバル要素の多いダイヤに思わずニヤついてしまうところ。しかし、その実態は新型コロナウイルスの感染拡大以降における利用状況を反映した大幅な減便であり、同社の苦しさが如実に表れたダイヤ改正であることを思えば、実に複雑である。

京成線と芝山鉄道線でワンマン運転を開始(11月)
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京成3600形 3668編成
2022.12.17/京成高砂〜柴又

▲11月ダイヤ改正で始まった京成線一部線区でのワンマン運転。貫通扉に見えるワンマンの札は暫定的な表示だった模様で、ワンマン運転用の方向幕が整備された編成が出現し始めている

同じく11月ダイヤ改正の話題となるが、京成線と芝山鉄道線でワンマン運転が開始された。ワンマン運転が実施されるのは金町線、千原線、東成田線、芝山鉄道線で、日中時間帯の4両編成が対象となる。京成でワンマン運転を行うのは初めてのことで、3500形と3600形の一部を対象にワンマン運転に対応するための改造を実施した。

ワンマン運転を行うため、縮小されていた4両編成の運用範囲が大きく拡がったのも今回のダイヤ改正の特徴である。特に、千葉・千原線では約4年ぶりに4両編成の定期運用が復活した。一方、千原線ではワンマン列車が80分に1本だけなどとりあえず始めてみました感が強く、今後ワンマン運転の拡大があるのかどうかなど気になる点も多い。

都営5300形いまだ健在、2022年を走り切る(12月)

最後にこの話題を挙げないわけにはいかないだろう。都営5300形で1編成のみ残る5320編成が2022年を走り切ろうとしている。幾度となく流れた廃車回送の噂もお構いなしに、いまだその健在っぷりを見せている。2021年9月の5500形の投入完了から1年3ヶ月、5320編成がまさかここまで走り続けると予想できた人はそう多くはないのではないだろうか。

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都営5300形 5320編成
2022.7.4/勝田台〜志津

▲5300形で1編成のみ残る5320編成。常々その行く末が心配されながらも、無事に2022年を走り切った

同編成はもとより5500形で実施されているデジタルSR列車無線対応工事の予備車として運用しているものとみられているが、その工事がここにきて急にペースダウン。当初の秋の終わりごろにも工事完了しそうだった勢いは消え、現時点で改造を終えているのは5522編成までという状況である。ここにも世界的な半導体不足の影響が出ているのかはわからないが、とにかく5320編成に追い風が吹いているのは間違いないところ。5300形とともに新しい年を迎えることができるのは幸せなことである。

◆ ◆ ◆

以上、2022年を振り返ってみてまず思うのは、今年はやたらと盛りだくさんだったということ。上記の10選には漏れてしまったが、次点としては京成による新京成の完全子会社化や京急1000形1890番台のブルーリボン賞受賞、24年ぶりの「團十郎号」が挙げられる。京急のパタパタ発車案内装置やシーメンス製VVVFインバーターとのお別れも記憶に新しいところだ。昨年・一昨年の停滞からすると、いろいろなことが起きてくれるだけでも単純に嬉しい。

他方、2回にわたり実施されたダイヤ改正では、各社局とも厳しい内容が目立った。アフターコロナにおける現実を見せつけられたのもまた2022年だったと言えよう。目下、ロシアのウクライナ侵攻や世界的なインフレ、まだまだくすぶり続ける新型コロナウイルスなど、不安定な情勢は続くばかり。来年は少しでも事態が好転することを願うばかりである。

2023年もいい年になりますよう。

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